「筋トレは3セットより5セット、5セットより10セットやったほうが筋肉がつくの?」
筋トレを始めると、このような疑問が出てくることがあります。
せっかく時間を使ってトレーニングするなら、できるだけ効果を高めたいですよね。
しかし、セット数は多ければ多いほど良いわけではありません。
ただし重要なのは、セット数を増やすほど追加で得られる効果は少しずつ小さくなっていくことです。

そのため、40〜50代から健康のために筋トレを始めるのであれば、いきなり大量のセットをこなす必要はありません。
まずは無理なく続けられる量から始め、必要になったら少しずつ増やしていく。
これが私が体育教師・パーソナルトレーナーとしておすすめしたい考え方です。
この記事では、最新研究をもとに「筋トレは何セットやればいいのか?」を初心者にも分かりやすく解説します。
- 筋トレのセット数と効果の関係
- セット数を増やせば増やすほど良いのか
- 筋肥大と筋力での違い
- トレーニング頻度の考え方
- 40〜50代の初心者がセット数を増やすタイミング
筋トレはセット数を増やすほど効果が高くなる?
結論からいうと、ある程度までは、セット数を増やすことに意味があります。
ただし、「多ければ多いほど効率よく筋肉がつく」わけではありません。
ここを理解するために重要なのが、トレーニングのボリュームです。
筋トレにおけるボリュームにはいくつかの考え方がありますが、今回紹介する研究では主に1週間に何セット行ったかが分析されています。
たとえばスクワットを、
- 月曜日:3セット
- 木曜日:3セット
行った場合、週6セットです。
トレーニングでは、このような週単位の量を考えることが大切になります。
2026年の研究で分かったセット数と筋肥大・筋力の関係
2026年に『Sports Medicine』に掲載されたメタ回帰分析では、筋トレのセット数と筋肥大・筋力の関係が詳しく調べられました。
対象となったのは、
- 67研究
- 参加者2,058人
- 平均年齢約25歳
- 男性約79%
- 女性約21%
です。
複数の研究結果をまとめて分析した結果、週当たりのセット数が増えるほど、筋肥大と筋力の両方が改善する傾向が確認されました。
ただし、ここには非常に重要なポイントがあります。
筋肥大はセット数を増やすほど伸びる傾向
筋肉を大きくする「筋肥大」については、週当たりのセット数が増えるほど、筋肉の成長も大きくなる関係が確認されました。
つまり、「1セットでも意味はあるけれど、ある程度セット数を増やしたほうが筋肥大を狙いやすい」と考えられます。
これは、筋肉を大きくすることを目的としてトレーニングしている人にとって重要なポイントです。
筋力も伸びるが、より頭打ちしやすい
重いものを持ち上げる「筋力」についても、セット数が多いほど改善する傾向が確認されました。
ただし、筋肥大よりも収穫逓減が強い結果でした。
収穫逓減とは、簡単にいえば、
「増やせば効果はあるけれど、増やすほど追加のメリットが小さくなる」
という意味です。
たとえばイメージとしては、
| セット数 | 得られる効果のイメージ |
|---|---|
| 0→少量 | 大きな変化が期待できる |
| 少量→中程度 | さらに効果が期待できる |
| 中程度→多量 | 効果は増えるが追加効果は小さくなる |
| 非常に多い | 疲労や時間に対して効率が悪くなる可能性 |
という関係です。
「20セットなら10セットの2倍」ではない
今回の研究で最も誤解してほしくないのがここです。
セット数と効果にプラスの関係があるからといって、
「20セットやれば10セットの2倍筋肉がつく」
という意味ではありません。
筋トレは単純な足し算ではないからです。
少ない量からトレーニングを始めた段階では、セットを増やすことで得られるメリットは比較的大きくなります。
ところが、すでに十分な量を行っている人がさらにセットを追加しても、得られる効果は少しずつ小さくなります。
一方で、
- トレーニング時間
- 筋肉や関節への負担
- 疲労
- 回復に必要な時間
は増えていきます。
筋トレの「1セット」はどう数える?
今回の研究でもう一つ興味深いのが、セット数の数え方です。
たとえばベンチプレスでは、胸の筋肉だけでなく上腕三頭筋なども使います。
では、「ベンチプレス3セット=胸3セット+上腕三頭筋3セット」と考えてよいのでしょうか?
今回の分析では、メインで使う筋肉への直接的なセットと、補助的に使う筋肉への間接的なセットを分けて分析しています。
そして、間接的な刺激を0.5セットとして数える方法が、データに最もよく適合しました。
たとえば、
- 上腕三頭筋の種目:3セット
- ベンチプレス:4セット
を行った場合、
上腕三頭筋への刺激を単純に7セットとするのではなく、
3+(4×0.5)=5セット
のように考えるイメージです。
もちろん「すべての種目を必ず0.5セットで計算すればよい」という意味ではありません。
研究者自身も、この方法を絶対的な基準ではなく、トレーニング量を考えるための実用的な目安として扱っています。
筋トレの頻度を増やす意味はある?
「1週間のセット数だけでなく、週何回トレーニングするかも重要なのでは?」
と思う人もいるでしょう。
今回の研究では、トレーニング頻度についても分析されています。
そして、筋肥大と筋力では少し違った結果になりました。
筋肥大では週の総量が重要
筋肥大については、トレーニング量などを考慮すると、頻度を増やすことによる独立した効果は小さい可能性が示されました。
つまり、
同じ週10セットなら、必ずしも週5回に分けたほうが週2回より筋肉がつくとは限らない
ということです。
運動初心者にとって、これは安心材料でもあります。
筋力アップでは頻度もプラスになる可能性
一方、筋力については、頻度を増やすほど筋力向上も大きくなる関係が確認されました。
筋力アップでは、筋肉そのものだけでなく、動作に慣れることも重要です。
スクワットやベンチプレスなどを適切な頻度で繰り返すことで、フォームや力の出し方を練習できます。
ただし、頻度についても増やせば増やすほど効果が大きくなるわけではなく、収穫逓減が確認されています。
初心者は何セットから始めればいい?
ここまで読むと、「では結局、何セットやればいいの?」と思いますよね。



今回の研究から、すべての人に共通する「絶対に○セットが正解」という数字を決めることはできません。
年齢、運動経験、種目、負荷、食事、睡眠、目的などによって適切な量が変わるからです。
特に今回の研究参加者は平均約25歳で、約8割が男性でした。
そのため、40〜50代の運動初心者に研究結果をそのまま当てはめるのは適切ではありません。
私が初心者を指導するときに大切にしているのは、最初から最大量を狙わないことです。
たとえば筋トレを始めたばかりなら、1種目につき1〜3セット程度からでも構いません。
スクワット、腕立て伏せ、ローイングなど基本的な運動を少ないセット数から始め、まずは継続する。
そこで順調に重量や回数が伸びているのであれば、無理にセット数を増やす必要はありません。
「少ない=効果がない」ではないのです。
むしろ初心者ほど、少ないトレーニング量でも体が反応する可能性があります。
セット数を増やす前に確認したい3つのこと
筋肉をつけたいのに成長が止まってしまったとき、すぐにセット数を増やす必要はありません。
私は、次の順番で確認することをおすすめします。
①重量を少しずつ伸ばせているか
筋トレでは、体の成長に合わせて少しずつ刺激を強くしていくことが大切です。
たとえばスクワットを、
「ずっと同じ重量・同じ回数・同じセット数」
で続けていると、体が刺激に慣れてしまうことがあります。
そこで、
10kg → 12kg → 14kg
というように、フォームを崩さない範囲で少しずつ重量を増やします。
これは「漸進性過負荷」と呼ばれる考え方です。
②回数を伸ばせているか
重量だけが成長の指標ではありません。
たとえば同じ重量で、
8回 → 10回 → 12回
とできるようになったのであれば、それも立派な進歩です。
③疲労から回復できているか
筋トレは、トレーニング中だけで完結するものではありません。
刺激を与えたあとに、
- 十分な睡眠
- バランスのよい食事
- 適切な休養
を確保することも大切です。
セット数を増やしても、
- いつも筋肉痛が残っている
- 次のトレーニングで力が出ない
- 関節が痛い」
- 筋トレが面倒になってきた
という状態なら、増やすことがプラスとは限りません。
40代・50代こそ「やりすぎない」ことが大切
40〜50代になると、
「若いころより体力が落ちたから、その分たくさん運動しなければ」
と考える人もいるかもしれません。
しかし、健康づくりでは大量のトレーニングを一時的に行うことより、適切な量を長く続けることのほうが大切です。
仕事や家事で忙しい人が、「週5回、毎回10種目」といったプログラムをいきなり始めても、継続できなければ意味がありません。
たとえば、「週2回・30分」から始めてみる。
これなら生活の中に取り入れられる人も多いでしょう。
慣れてきたら、
- 重量を少し上げる
- 1〜2回多く行う
- 必要なら1セット追加する
というように少しずつ調整します。



体育教師・パーソナルトレーナーとして多くの人の運動を見る中でも、私は最初から完璧なメニューを作ることより、続けられるスタートラインを作ることを大切にしています。
筋トレは1か月で終わるものではありません。
「一生動ける体」をつくるための習慣だからこそ、長く続けられる量を選びましょう(^^)
筋トレのセット数に関するFAQ
体育教師×トレーナーとしての結論|「最大量」より「必要最小限から少しずつ」
今回の内容をまとめます。
- セット数を増やすほど筋肥大・筋力は伸びる傾向がある
- ただし、増やすほど追加効果は小さくなる
- 特に筋力では頭打ちが強い
- 筋肥大では頻度より週全体のトレーニング量が重要と考えられる
- 筋力では頻度を増やすことにもメリットがある可能性がある
- 間接的に使う筋肉への刺激も無視できない
- 40〜50代の初心者は最初から大量のセットを行う必要はない
研究を見ると、トレーニング量を増やすこと自体には意味があります。
しかし、私がより大切だと考えるのは、
「何セットやれば最大の効果が得られるか?」ではなく、「今の自分に何セット必要なのか?」
という視点です。
3セットで順調に成長している人が、無理に6セット行う必要はありません。
まずは続けられる量で始める。
そして、
重量を上げる → 回数を増やす → 必要ならセット数を増やす
という順番で調整してみてください。
少ない量でも成長できているなら、それは「足りない」のではなく、効率よくトレーニングできているとも考えられます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考にした公的機関・論文
Pelland JC, et al.(2026)
The Resistance Training Dose Response: Meta-Regressions Exploring the Effects of Weekly Volume and Frequency on Muscle Hypertrophy and Strength Gains.
Sports Medicine. 2026;56(2):481-505.
67研究・2,058人を対象に、週当たりのトレーニング量・頻度と筋肥大・筋力向上との用量反応関係を分析したメタ回帰分析。
Räntilä A, Ahtiainen JP.(2026)
Exploring the Upper Limits of Resistance Training Volume for Muscle Hypertrophy and Strength in Trained Athletes.
Journal of Science in Sport and Exercise.
トレーニング経験のある男性アスリートを対象に、非常に高いトレーニング量への増加が筋肥大・筋力へ与える影響を検討した研究。


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