「運動を続けているのに、思うような成果が出ない」
「筋トレの回数や重さを、いつ増やせばよいのか分からない」
「40代・50代から運動を始めて、膝や腰を痛めないか心配」
このような悩みを感じていませんか?
結論からお伝えすると、運動で成果を出すために大切なのは、ただ頑張ることではありません。
目的に合う運動を選び、自分の体力に合わせて、少しずつ負荷を調整しながら続けることです。

その基本となる考え方が「トレーニングの3原理5原則」です。
この記事では、40代・50代の運動初心者に向けて、3原理5原則の意味を具体例とともに解説します。安全な負荷の上げ方、週2回の実践例、注意点まで紹介するので、今日からの運動計画に役立ててください。
この記事を書いた人
現役の保健体育教師・パーソナルトレーナーとして、12年間で延べ約1,000人の体づくりをサポートしてきました。
保有資格:中学校・高等学校教員免許(保健体育)、NSCA-CSCS、NSCA-CPT、NASM-PES
トレーニングの3原理5原則とは?まず結論
トレーニングの3原理5原則は、運動の成果を引き出すための基本的な考え方です。
- 3原理:運動によって体が変わる仕組み
- 5原則:安全かつ効果的に運動するための行動指針
すべてを暗記する必要はありません。
3原理5原則の早見表
| 分類 | 名称 | 初心者向けの意味 |
| 3原理 | 過負荷の原理 | 普段より少し強い刺激を与える |
| 3原理 | 特異性の原理 | 目的に合う運動を選ぶ |
| 3原理 | 可逆性の原理 | やめると効果は少しずつ失われる |
| 5原則 | 全面性の原則 | 筋力・持久力・柔軟性などを偏らせない |
| 5原則 | 漸進性の原則 | 負荷は一度に上げず、少しずつ高める |
| 5原則 | 反復性の原則 | 一度で終わらせず、繰り返し続ける |
| 5原則 | 個別性の原則 | 年齢・体力・目的・生活に合わせる |
| 5原則 | 意識性の原則 | 運動の目的と正しい方法を理解する |
原理と原則の違い
「原理」と「原則」は似ていますが、役割が異なります。
| 項目 | 意味 | 例 |
| 原理 | 体が変化する基本的な仕組み | いつもより強い刺激を受けると、体は適応しようとする |
| 原則 | 原理を生かすための進め方 | 重さや回数を一度に増やさず、少しずつ上げる |
簡単に言えば、原理は「なぜ体が変わるのか」、原則は「どう運動すればよいのか」です。
3原理5原則と3原理6原則はどちらが正しい?
トレーニングの原理原則は、団体や教材によって分類が異なります。
日本では「3原理5原則」という表現が広く使われていますが、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、3つの原理に加えて、次の6つの原則を紹介しています。
- 意識性
- 全面性
- 専門性
- 個別性
- 漸進性
- 反復性・周期性
そのため、3原理5原則だけが唯一の正解というわけではありません。
この記事では、筋トレ初心者に広く知られている3原理5原則を中心に説明し、健康づくりに必要な内容を補足します。
トレーニングの3原理
過負荷の原理|普段より少し強い刺激を与える
過負荷の原理とは、体力を高めるためには、普段の生活より少し強い刺激が必要という考え方です。
たとえば、椅子から10回立ち上がる運動を続けて余裕が出てきた場合、同じ内容だけでは体が慣れて、変化が小さくなることがあります。
そのときは、次のいずれかを少し調整します。
- 回数を増やす
- セット数を増やす
- 重さを加える
- 動く範囲を広げる
- 運動時間を少し延ばす
- 休憩時間を調整する
- 週当たりの回数を見直す
ただし、全部を一度に増やす必要はありません。
40代・50代の初心者向けの目安
筋トレでは、まず「あと2〜3回はできそう」と感じる余裕を残します。
限界まで追い込まなくても、筋力や身体機能の向上は期待できます。2026年に公表されたACSMの見解でも、一般の健康な成人では、毎回限界まで行うことや複雑な上級テクニックは必須ではないと整理されています。
特異性の原理|目的に合う運動を選ぶ
特異性の原理とは、トレーニング効果は、使った筋肉・動作・強度・運動時間などに応じて現れやすいという考え方です。
目的が違えば、優先する運動も変わります。
| 目的 | 優先したい運動例 |
| 階段を楽に上りたい | 椅子スクワット、ステップ運動、ウォーキング |
| 重い荷物を持ちたい | スクワット、ヒップヒンジ、押す・引く筋トレ |
| 長く歩ける体力をつけたい | ウォーキング、自転車、軽い有酸素運動 |
| 体を柔らかくしたい | 動かしにくい部位に合わせたストレッチ |
| 筋肉を大きくしたい | 筋肥大に必要な強度・量を確保した筋トレ |
| 健康診断をきっかけに運動したい | 有酸素運動と全身の筋トレを無理なく組み合わせる |
SNSで人気の運動でも、自分の目的に合わなければ優先度は高くありません。
可逆性の原理|やめると効果は少しずつ失われる
可逆性の原理とは、運動で高まった体力も、トレーニングを中断すると少しずつ低下するという考え方です。
- 筋トレをやめると、筋力や筋量が低下することがある
- 有酸素運動をやめると、持久力が低下することがある
- ストレッチをやめると、柔軟性が低下することがある
ただし、数日休んだからといって、すべてが元に戻るわけではありません。
体力の低下する速さは、運動歴・年齢・休止期間・日常活動・栄養状態などによって異なります。
トレーニングの5原則
全面性の原則|筋力・持久力・柔軟性を偏らせない
全面性の原則とは、一つの筋肉や一つの体力だけに偏らず、全身をバランスよく整える考え方です。
健康づくりを目的とする40代・50代は、次の要素を組み合わせましょう。
- 筋力トレーニング
- 有酸素運動
- 柔軟性を保つ運動
- バランス運動
- 休養
胸や腕だけではなく、脚・背中・お尻などの大きな筋肉も鍛えることが大切です。
漸進性の原則|負荷は一度に上げず段階的に
漸進性の原則とは、体力の向上に合わせて、運動の負荷や難しさを少しずつ高める考え方です。
過負荷の原理が「普段より刺激を与える必要がある」という仕組みなら、漸進性の原則は「その刺激を安全にどう増やすか」という進め方です。
椅子スクワットの進め方の例
- 椅子から5〜10回立ち上がる
- 余裕が出たら回数を少し増やす
- 次に1セット追加する
- フォームが安定したら、軽い重りを持つ
- 必要に応じて、椅子を使わないスクワットへ進む
一度に複数の項目を変えると、何が原因で疲れや痛みが出たのか分かりにくくなります。
同じ内容を2回程度行っても余裕があり、関節痛や強い疲労が残らない場合に、一項目だけ増やすのが初心者には実践しやすい目安です。
反復性の原則|完璧さより継続を優先する
反復性の原則とは、トレーニング効果を得るためには、一度だけではなく、繰り返し行う必要があるという考え方です。
週末に一度だけ限界まで頑張るより、無理のない内容を定期的に続ける方が、運動習慣をつくりやすくなります。
2026年のACSMのガイドラインでも、一般の成人にとっては、複雑なメニューより継続できるプログラムが重要であると示されています。
運動を続けるために、次のような工夫を取り入れましょう。
- 運動する曜日を先に決める
- 最初は15〜20分にする
- 種目と回数を記録する
- 忙しい日は1種目だけ行う
- できなかった日ではなく、次に行う日を決める
個別性の原則|年齢・体力・生活に合わせる
個別性の原則とは、同じ運動でも、適切な内容や負荷は人によって異なるという考え方です。
確認したい条件は次のとおりです。
- 年齢
- 運動経験
- 筋力・持久力・柔軟性
- 持病や服薬
- 膝・腰・肩などの状態
- 仕事や家事の疲労
- 睡眠時間
- 運動できる曜日と時間
- 本人の目標や好み
有名人や上級者のメニューをそのまままねても、自分に合うとは限りません。
特に40代・50代は、若い頃の記録と比べるのではなく、現在の体力や生活に合うスタート地点を選びましょう。
意識性の原則|目的とフォームを理解して行う
意識性の原則とは、何のために行う運動なのか、どのようなフォームで行うのかを理解して取り組む考え方です。
たとえば、椅子スクワットなら次の点を確認します。
- 目的:立つ、歩く、階段を上るための下半身づくり
- 動作:股関節と膝を曲げ、椅子へゆっくり座る
- 呼吸:息を止めない
- 確認:膝や腰に鋭い痛みがない
「使っている筋肉だけを強く意識すれば、必ず効果が高まる」とは限りません。
研究では、筋肉の内側だけに意識を向ける方法より、「床を押す」「バーを上へ動かす」のように動作の結果へ意識を向ける方法が、筋持久力の発揮に有利な場合も報告されています。
40代・50代の初心者が優先したい3つの原則
8項目を一度に意識するのが難しい方は、次の3つから始めてください。
1.個別性
今の体力・関節の状態・生活に合う運動を選びます。
2.反復性
最初から完璧なメニューを目指さず、週2回など続けられる頻度を決めます。
3.漸進性
余裕が出てきたら、回数・セット数・重さのうち一つだけを少し増やします。
3原理5原則を生かした週2回の運動例
以下は、大きな持病や運動制限がなく、強い関節痛がない初心者向けの一例です。
| 曜日 | 内容 | 原理原則との関係 |
| 月 | 全身の筋トレ15〜25分 | 過負荷・全面性・反復性 |
| 火 | ウォーキング20〜30分 | 特異性・全面性 |
| 水 | 休養または軽いストレッチ | 個別性・回復 |
| 木 | 全身の筋トレ15〜25分 | 反復性・漸進性 |
| 金 | 休養または軽い散歩 | 個別性 |
| 土・日 | 趣味の運動、散歩、休養から選択 | 個別性・継続 |
筋トレは、次の3〜5種目から始めます。
- 椅子スクワット
- 壁腕立て伏せ
- ヒップリフト
- バードドッグ
- チューブローイング
各種目は10〜15回を1〜2セットから始め、「あと2〜3回できそう」と感じる余裕を残します。
負荷を上げてもよい目安
- 同じ内容を2回程度行っても余裕がある
- フォームが崩れない
- 息を止めずに行える
- 筋肉痛や疲労が日常生活へ大きく影響しない
- 膝・腰・肩などに鋭い痛みがない
上記に当てはまる場合は、回数・セット数・重さなどのうち、一つだけを少し増やします。
負荷を上げない方がよいサイン
- 関節に鋭い痛みがある
- フォームが大きく崩れる
- 前回の疲労が強く残っている
- 睡眠不足や体調不良がある
- めまい、動悸、胸の不快感、異常な息切れがある
トレーニングの3原理5原則を学ぶメリットと注意点
メリット
- 目的に合わない運動を減らせる
- 負荷を上げるタイミングを考えやすくなる
- やりすぎや自己流の偏りに気づきやすくなる
- 運動の記録と振り返りがしやすくなる
- 短期間の流行に振り回されにくくなる
- 自分に合う継続方法を見つけやすくなる
注意点
- 3原理5原則を知るだけで、自動的に成果が出るわけではない
- 食事・睡眠・休養も体づくりに必要
- 「過負荷」を「限界まで追い込むこと」と誤解しない
- 痛みや体調不良を我慢して継続しない
- すべての人に同じ回数・重さが合うわけではない
- 病気やけがの診断・治療の代わりにはならない
向いている人
- 筋トレやウォーキングをこれから始める人
- 運動しているのに成果を感じにくい人
- 自分でメニューを見直したい人
- 負荷を上げるタイミングが分からない人
- 無理なく運動を習慣化したい40代・50代
記事だけを参考に自己流で進めない方がよい人
- 医師から運動制限を受けている
- 心臓病、高血圧、糖尿病などで治療中
- 最近、手術や大きなけがをした
- 胸痛、めまい、失神、異常な息切れがある
- 運動で悪化する強い腰痛・膝痛・関節痛がある
- リハビリ中で個別の運動指示が必要
- 競技成績を高める専門的なプログラムが必要
よくある質問
まとめ|難しく考えず「自分に合う運動を少しずつ続ける」
トレーニングの3原理は、体が運動へ適応する仕組みです。
- 過負荷の原理:普段より少し強い刺激を与える
- 特異性の原理:目的に合う運動を選ぶ
- 可逆性の原理:やめると効果は少しずつ失われる
トレーニングの5原則は、安全かつ効果的に運動を進める指針です。
- 全面性:筋力・持久力・柔軟性などを偏らせない
- 漸進性:負荷を少しずつ上げる
- 反復性:無理のない頻度で続ける
- 個別性:自分の体力・目的・生活に合わせる
- 意識性:目的と正しい方法を理解する
体育教師×パーソナルトレーナーとしての結論
40代・50代の運動初心者に、最初から難しいトレーニングや限界までの追い込みは必要ありません。



最も大切なのは、今の自分に合う運動を選び、週2回など続けられる頻度で始め、余裕が出たら一項目だけ負荷を上げることです。
運動は、短期間だけ頑張るものではなく、一生動ける体をつくるための生活習慣です。
まずは次の3つから始めてみましょう。
- 運動する目的を一つ決める
- 今週、運動する曜日を2日決める
- 椅子スクワットなど全身運動を1セット行う
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考文献
- 厚生労働省「運動プログラム作成のための原理原則」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023:筋力トレーニングについて」
- American College of Sports Medicine. 2026 Resistance Training Guidelines.
- ACSM Position Stand: Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults.
- Grgic J, Mikulic P. Effects of Attentional Focus on Muscular Endurance: A Meta-Analysis.
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、病気やけがの診断・治療を目的としたものではありません。
治療中の病気、運動制限、強い症状がある場合は、医師などの専門家へご相談ください。


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