「健康のために有酸素運動をした方がいいと聞くけれど、そもそも何をすればいいの?」
「ウォーキングでも効果はある?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
有酸素運動は、ウォーキングやジョギングなど、比較的長く続けやすい運動のことです。運動不足の解消や心肺機能の向上など、健康づくりに幅広いメリットがあります。

特に40代・50代から運動を始める場合、最初からきつい運動をする必要はありません。まずは自分の体力に合った、無理なく続けられる運動から始めることが大切です。
この記事では、体育教師・パーソナルトレーナーの視点から、有酸素運動の基本を初心者にもわかりやすく解説します。
- 有酸素運動とはどんな運動か
- 有酸素運動の代表的な種類
- 有酸素運動で期待できる効果
- 初心者が始めるときの強度・時間の考え方
- 筋トレと有酸素運動の組み合わせ方
有酸素運動とは何か
有酸素運動という言葉は皆さん聞いたことがあるかと思います。
テレビやネットなどでも、「ダイエットに効果的」、「体力をつけるのに必要」と言われているので、効果もなんとなく知っている人が多いんではないかと。
有酸素運動の定義
酸素を使ってエネルギーを生み出す運動
有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、比較的長く続けやすい運動のことです。
運動中は糖質や脂質などをエネルギーとして利用しながら体を動かします。
「脂肪を燃やすには20分以上運動しないと意味がない」と聞いたことがある方もいるかもしれませんが、短時間の運動が無意味というわけではありません。
無酸素運動との違い
有酸素運動は酸素を使い脂肪を燃焼する長時間の低〜中強度運動(ウォーキング等)であり、無酸素運動は酸素を使わず糖をエネルギー源とする短時間の高強度運動(筋トレ等)です。
有酸素運動と無酸素運動の比較一覧
| 特徴 | 有酸素運動 | 無酸素運動 |
|---|---|---|
| 酸素の利用 | 利用する | 利用しない(少ない) |
| エネルギー源 | 糖、脂肪、(タンパク質) | 糖(グリコーゲン) |
| 運動強度 | 低~中程度 | 高強度 |
| 持続時間 | 長時間 | 短時間(瞬発的) |
| 主な目的 | 脂肪燃焼、持久力向上 | 筋力アップ、筋肥大 |
| 具体例 | ウォーキング、マラソン、水泳 | 筋トレ、短距離走、重量挙げ |
代表的な有酸素運動
屋外で行う運動
- ウォーキング、散歩
- ジョギング、ランニング
- サイクリング
- ハイキング
- なわとび
- ラジオ体操 など
屋内で行う運動
- 踏み台昇降
- エアロビクス
- フィットネスバイク(エアロバイク)
- ランニングマシン(トレッドミル)
- 水泳、アクアビクス
- ヨガ など
自宅で使う運動器具も検討したい方は、室内ウォーキングマシン・ステッパーの選び方とおすすめ5選をご覧ください。歩く動きと足踏みの違いや、置き場所・手すりの有無などを比較できます。
有酸素運動の一覧表
| 種類 | 運動強度の目安 | 初心者の始めやすさ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ウォーキング | 低〜中 | ◎ | 運動初心者でも始めやすい |
| ジョギング | 中 | ○ | ウォーキングより運動量を増やしやすい |
| ランニング | 中〜高 | △ | 心肺機能向上を狙いやすいが、体への負担も大きくなりやすい |
| サイクリング | 低〜中 | ○ | 膝などへの衝撃を抑えながら運動しやすい |
| 水泳 | 中 | ○ | 全身を使いやすく、関節への衝撃も少ない |
| 踏み台昇降 | 低〜中 | ◎ | 天候に左右されず自宅でも取り組みやすい |



運動に限らず、「徒歩で移動する」「階段を使う」「家事をする」といった日常生活も有酸素運動に入ります。
有酸素運動の主な効果
有酸素運動には素晴らしい効果がたくさんあります。
今回の記事では以下の4つにわけて解説します。
- 脂肪燃焼効果
- 心肺機能・持久力の向上
- 心の健康維持にも役立つ
- 生活習慣病の予防
脂肪燃焼・ダイエット効果
糖質がエネルギー源
運動開始直後は血中や肝臓・筋肉内の糖質(グリコーゲン)が優先的に使われます。
糖質は、活動によって消費しきれなかった分は体内に残り、中性脂肪に形を変えて蓄積されてしまいます。
なので、有酸素運動で糖質をしっかりと使い切ることで、脂肪がつくのを防いだり体脂肪を減らしたりする効果が期待できます。
エネルギーが不足してくると脂肪もエネルギー源に
有酸素運動のエネルギー源として消費される順番は、「糖質→脂質→タンパク質」と言われています。
ただ、順番と言っても「糖質を完全に使い切ってからでないと脂質をエネルギーにしない」というわけではありません。
運動開始時は「糖質をエネルギーとして使われる割合が高い」という意味で、脂質も開始時から少し使われています。



糖質が枯渇するほど、脂質をエネルギーとして使う割合が増えますので、ダイエット効果を高めたい方は、20~30分程度の運動時間を目安にしましょう。
心肺機能・持久力の向上
有酸素運動は、心臓と肺をたくさん使う運動です。
運動中に継続的に酸素を取り込むため、心臓が一度に送り出す血液量が増加し、肺のガス交換効率が高まります。
運動を継続することで、心筋(心臓の筋肉)が鍛えられ、毛細血管が発達することで、少ない負担で効率的に酸素を全身へ運べるようになり、持久力がつきます。
- 心臓のポンプ機能強化: 心臓(心筋)が鍛えられることで、1回の拍動で送り出せる血液量(心拍出量)が増加する。
- 毛細血管の発達: 酸素を隅々まで届けるために、筋肉内の毛細血管が増殖・発達する。
- 酸素摂取能力の向上(VO2Max): 肺から血液への酸素取り込み能力が高まり、全身の組織で酸素を利用しやすくなる。
- 安静時心拍数の低下: 効率よく血液を送れるようになるため、安静時や同じ運動強度における心拍数が下がる。
心の健康維持にも役立つ
有酸素運動は体だけでなく、心の健康にもよい影響が期待できます。
適度に体を動かすことは、気分転換やストレス解消にもつながります。



「心身相関」という言葉通り、心と体は繋がっていて、メンタルにも良い影響があるのです(^^)
生活習慣病の予防
生活習慣病は、食習慣、運動不足、休養、喫煙、飲酒などの日常の生活習慣が原因で発症・進行する、がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧などの疾患群のことです。
これらの予防に有酸素運動は効果的です。
- 脂肪燃焼: 内臓脂肪を燃焼させ、メタボリックシンドロームの予防・改善につながる。
- 糖・脂質代謝改善: インスリンの働きを促進し血糖値を下げ、善玉コレステロールを増やして中性脂肪を減らす。
- 血管の健康: 血管内皮機能を改善し、高血圧の改善(血圧低下)に寄与する。
- その他の効果: 心肺機能の向上、骨密度の維持、ストレス解消、脳卒中や心臓病のリスク低下。
効果を高める有酸素運動のやり方
基本的なやり方
有酸素運動は、ウォーキングやジョギングなどを最初は無理のない範囲で、慣れてきたら「ややきつい」と感じる中程度で、「20分以上、週に2~3回」を目安にしましょう。
特に40代・50代で久しぶりに運動を始める方は、いきなり高い目標を設定する必要はありません。
効果を最大化するには心拍数を意識
筋トレで筋力や筋肥大をさせるときは、重さや回数などを意識することで効果が出ます。
では、有酸素運動は何を意識するかというと、「心拍数」です。
目的別の心拍数強度
| 最大心拍数による% | 自分の感覚 | 目的 |
|---|---|---|
| 90~100% | 非常にきつい | アスリートレベルでの瞬発力向上 |
| 80~90% | かなりきつい | 最大運動能力の向上 |
| 70~80% | きつい | 有酸素運動能力 |
| 60~70% | ややきつい | 脂肪燃焼、基本的な持久力 |
| 50~60% | やや楽 | ウォーミングアップ、クールダウン、運動不足解消 |
初心者は「会話できる程度」から始めよう
有酸素運動は、きつくすればするほど健康に良いわけではありません。
運動初心者なら、まずは「会話できる程度」「少し息が弾む程度」から始めるのがおすすめです。
ウォーキングであれば、普通に歩くところから始め、余裕が出てきたら少し速く歩くなど、段階的に負荷を上げていきましょう。
「より細かく運動強度を管理したい」という方は、ボタンをタップしていただくと細かい計算式が出てきます(^^)
最大心拍数を知る方法(簡易版)
目標心拍数の計算式(簡易版)
最大心拍数 = 220 ー 年齢
最大心拍数= 220 ー 40(年齢) = 180
・ウォーミングアップ 180×50%~180×60% = 90~108
・脂肪燃焼、基本的な持久力 180×60%~70% = 108~126
・有酸素運動能力向上 180×70%~80% = 126~144
・最大運動能力の向上 180×80~90% = 144~162
・アスリートレベルでの瞬発力向上 180×90~100% = 162~180
年齢別早見表
| 年齢/心拍数 | 最大心拍数 | 50~60% | 60~70% | 70~80% | 80~90% | 90~100% |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 15 | 205 | 102~123 | 123~143 | 143~164 | 164~184 | 184~205 |
| 20 | 200 | 100~120 | 120~140 | 140~160 | 160~180 | 180~200 |
| 25 | 195 | 97~117 | 117~136 | 136~156 | 156~175 | 175~195 |
| 30 | 190 | 95~114 | 114~133 | 133~152 | 152~171 | 171~190 |
| 35 | 185 | 92~111 | 111~129 | 129~148 | 148~166 | 166~185 |
| 40 | 180 | 90~108 | 108~126 | 126~144 | 144~162 | 162~180 |
| 45 | 175 | 87~105 | 105~122 | 122~140 | 140~157 | 157~175 |
| 50 | 170 | 85~102 | 102~119 | 119~136 | 136~153 | 153~170 |
| 55 | 165 | 82~99 | 99~115 | 115~132 | 132~148 | 148~165 |
| 60 | 160 | 80~96 | 96~112 | 112~128 | 128~144 | 144~160 |
| 65 | 155 | 77~93 | 93~108 | 108~124 | 124~139 | 139~155 |
| 70 | 150 | 75~90 | 90~105 | 105~120 | 120~135 | 135~150 |
| 75 | 145 | 72~87 | 87~101 | 101~116 | 116~130 | 130~145 |
| 80 | 140 | 70~84 | 84~98 | 98~112 | 112~126 | 126~140 |
最大心拍数を知る方法(詳細版)
先ほどの簡易版と違い、安静時の脈拍を用いて更に個人の体力レベルに合った強度の計算方法があります。
- リラックスする:椅子に座って落ち着いた状態で、腕を机などに置きます。
- 指を当てる:反対の手の人差し指、中指、薬指の3本を、利き手でない方の手首の親指側(橈骨動脈)のくぼみに軽く当てます。
- 脈拍を数える:時計を見ながら、15秒間脈が打つ回数を数えます。
- 計算する:15秒で数えた回数に4を掛けると、1分間の心拍数(bpm)がわかります(例:15秒で18回なら18×4=72bpm)。
※手首の他、首の付け根(頸動脈)でも測れます。
※30秒測って2倍する方法や60秒しっかり測る方法もあります。
目標心拍数の計算式(詳細版)
(220 ー 年齢 ー 安静時脈拍) × 運動強度(%) + 安静時脈拍 = 目標心拍数
220 ー 40(年齢)ー 80(安静時脈拍)× 0.6(運動強度%)+ 80(安静時脈拍)=140
220 ー 40(年齢)ー 80(安静時脈拍)× 0.7(運動強度%)+ 80(安静時脈拍)=150
40歳の方がダイエット目的に有酸素運動をする場合の目標心拍数は、「140~150」ということになります。
健康維持・向上のための有酸素運動の考え方
筋トレと組み合わせる
筋トレと有酸素運動には、それぞれ異なるメリットがあります。
健康づくりでは「どちらか一方だけをやればよい」と考えるのではなく、自分の目的や体力に合わせて組み合わせることが大切です。
| 筋トレ(無酸素運動)の主な効果 | 有酸素運動の主な効果 |
|---|---|
| ・筋肉量増加 ・筋力増加 ・ボディメイク | ・心肺機能の強化 ・脂肪燃焼効果 ・血流促進 |



同じタイミングで筋トレと有酸素運動をする場合、「筋トレ→有酸素運動」の順番がオススメです。
理由は、筋トレ(無酸素運動)は糖質をメインのエネルギーにするためエネルギーが満たされている内に行うのが効果的だからです。
無理なく継続する
健康維持のための有酸素運動は、1日合計30分(10分×3回でも可)を週2〜3回から始めるのが無理なく続けるコツです。
- 目標設定は低く:まずは「1日10分のウォーキング」や「エレベーターの代わりに階段を使う」など、小さな目標から始める。
- 分割してもOK:1回で30分連続運動できなくても、10分を3回に分けて合計30分にしても同等の健康効果が得られる。
- 頻度は週2〜3回:毎日行う必要はなく、週2〜3回、慣れてきたら徐々に増やす。
- 「ながら」運動:テレビを見ながらの足踏み、通勤の早歩きなど、日常の習慣に組み込む。
- 楽しみを見つける:お気に入りのウェアを着る、音楽を聴く、景色を楽しむなど、楽しさをプラスする
ウォーキング・ランニングを始めるならシューズ選びも大切
ウォーキングやランニングを始めるなら、運動内容だけでなく、自分に合ったシューズを選ぶことも大切です。
まとめ 体育教師×トレーナーとしての結論
有酸素運動というと、「30分走らないと意味がない」「きつい運動をしないと効果がない」と考えてしまう方もいます。
しかし、40代・50代から健康づくりを始めるなら、最初から完璧な運動をする必要はありません。
まずは、
- 10分程度歩いてみる
- エレベーターではなく階段を使ってみる
- 買い物や通勤で歩く時間を増やす
- 慣れてきたら少しずつ時間や強度を増やす
といった方法からでも十分スタートできます。



体育教師・パーソナルトレーナーとして大切だと考えているのは、1回だけ頑張ることではなく、「自分に合った運動を無理なく続けること」です。
有酸素運動を上手に生活へ取り入れて、一生動ける体づくりにつなげていきましょう(^^)
最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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