「筋トレのあとに有酸素運動をすると、せっかくつけた筋肉が減ってしまう?」
「筋肉をつけたいなら、ウォーキングやランニングはやらない方がいい?」
筋トレを始めると、このような話を聞くことがあります。
特に「有酸素運動をすると筋肉が落ちる」という情報を見ると、筋トレとウォーキングの両方をやってよいのか迷ってしまいますよね。
結論からいうと、一般的な健康づくりが目的なら、筋トレと有酸素運動の両方を行うことを推奨します。
特に40〜50代から健康づくりを始めるのであれば、「筋肉をつける」「体力をつける」のどちらか一方ではなく、両方をバランスよく高めることが大切です。
この記事では、
- 筋トレ+有酸素運動は筋肥大を邪魔するのか
- 筋力やパワーには影響しないのか
- 筋トレと有酸素運動はどちらを先にするのか
- 同じ日にやってもよいのか
- 40〜50代ならどう組み合わせればよいのか
を、最新研究をもとに体育教師・パーソナルトレーナーの視点から分かりやすく解説します。
筋トレ+有酸素運動は筋肥大を邪魔する?
まず知っておきたいのが、コンカレントトレーニングという言葉です。
コンカレントトレーニングとは、簡単にいえば、筋力トレーニング+持久系トレーニングを同じ期間に行う方法です。
例えば、
- 月曜日と木曜日に筋トレ、火曜日と土曜日にジョギング
- ジムで筋トレしたあとに20分ウォーキング
- 筋トレをしながら別の日にサイクリング
などが該当します。
ここで昔から議論されてきたのが、干渉効果(interference effect)です。
簡単に説明すると、筋力や筋肉を増やそうとする体の適応と、持久力を高めようとする適応が、お互いの効果を邪魔するのではないかという考え方です。
そのため、「筋肉をつけたいなら有酸素運動をしない方がいい」という話につながることがあります。
2026年のアンブレラレビューで分かったこと
主に評価されたのは、
- 有酸素能力
- 筋力
- パワー
- 筋肥大
です。
その結果、コンカレントトレーニングと筋トレのみを比較すると、筋力・パワー・筋肥大については概ね同程度の改善が確認されました。
一方、有酸素能力は筋トレだけを行うより、持久系トレーニングも組み合わせた方が改善しました。
つまり一般的な運動者であれば、筋トレと有酸素運動を組み合わせることで、筋力や筋肥大を大きく犠牲にせず、持久力も高められる可能性があるということです。

これは40〜50代の健康づくりを考えるうえでも重要です。
「一生動ける体」を考えるのであれば、どちらか一方だけではなく、筋力と全身持久力の両方を維持することが大切です。
「筋トレ+有酸素運動」のメリット
筋トレと有酸素運動を組み合わせるメリットは、筋肉だけではなく体全体を考えられることです。
筋トレでは筋力や筋肉に刺激を与えられます。
一方、ウォーキングやジョギングなどの有酸素性身体活動は、持久力や日常の身体活動量を確保するために役立ちます。
なぜ「有酸素運動は筋肥大を邪魔する」といわれるのか
では、なぜ有酸素運動が筋肥大を邪魔するといわれてきたのでしょうか。
ここで注意したいのは、「有酸素運動をする=筋肉がつかなくなる」わけではないということです。
実際に問題になりやすいのは、トレーニング全体の負荷です。
例えば、筋トレで脚をしっかり鍛えたあと、毎回長時間のハードなランニングをするとします。
当然、脚には大きな疲労が残ります。
十分に回復しないまま次の筋トレを迎えれば、
- 前回より重量が上がらない
- いつもより回数ができない
- 脚が重い
- フォームが崩れる
- 疲労が抜けない
といった問題が起こる可能性があります。
筋肥大を考えるときは、筋トレの質や回復を妨げるほど運動量が増えていないかを見ることが重要です。
特に運動初心者は、「健康のために筋トレもランニングも毎日頑張ろう!」と、一気に運動量を増やしてしまうことがあります。
筋トレと有酸素運動はどちらを先にする?
同じ日に両方行うなら、
- 「筋トレ→有酸素運動」
- 「有酸素運動→筋トレ」
のどちらがよいのでしょうか。
2026年のアンブレラレビューでは、トレーニングの順番による明確な差は確認されませんでした。
一方、筋力や筋肥大を優先する場合には、筋トレを有酸素運動より先に行う方が有利になる可能性があります。



健康づくりが目的なら、細かな順番にこだわりすぎるより、自分のやりたい運動から始めて、筋トレと有酸素運動を無理なく継続できることを優先しましょう。
また、安全に正しいフォームで運動できることもいしきしたいです(^^)
- 筋肉をつけたい、筋力を高めたい人なら、
⇒筋トレ→有酸素運動 - 持久系スポーツのパフォーマンスを優先する人なら、
⇒有酸素運動⇒筋トレ
筋トレと有酸素運動は同じ日にやってもいい?
健康づくりが目的なら、同じ日に行っても構いません。
仕事や家事がある40〜50代では、「筋トレの日と有酸素運動の日を完全に分ける」というスケジュールが難しい人も多いでしょう。
その場合、筋トレ30分+ウォーキング15〜20分のように同じ日にまとめる方法も現実的です。
反対に、運動できる日を確保できるのであれば、
月曜日:筋トレ
火曜日:ウォーキング
木曜日:筋トレ
土曜日:ウォーキング
のように分けても構いません。
40〜50代なら筋トレ+有酸素運動をどう組み合わせる?
ここが今回の記事で最も伝えたいポイントです。
一般的な健康づくりなら、筋トレと有酸素運動の両方を行うメリットは高いと感じています。
ただし、現在ほとんど運動していない人が、明日からすべて達成しなければならないという意味ではありません。
厚生労働省も、個人差を踏まえて強度や量を調整し、可能なものから取り組み、今より少しでも多く体を動かすことを推奨しています。
そこで運動初心者なら、例えば、
月曜日:筋トレ30〜40分
火曜日:ウォーキング20〜30分
木曜日:筋トレ30〜40分
土曜日:ウォーキング30〜40分
くらいから始める方法があります。
時間が取れなければ、
週2回、筋トレ30分+ウォーキング15〜20分
でもよいでしょう。
- 週2回筋トレする
- 通勤で10分多く歩く
- 休日に30分ウォーキングする
など、できることから始めてください。
健康目的と筋肥大目的では考え方を変えよう
筋トレと有酸素運動の組み合わせ方は、目的によって少し変わります。
健康づくりが目的の場合
40〜50代の一般的な健康づくりであれば、
- 筋力を維持する
- 持久力を維持する
- 日常生活で動ける体をつくる
- 身体活動量を確保する
など、全身を考えることが重要です。
筋肥大や競技力を優先する場合
一方、
- できるだけ筋肉を大きくしたい
- 競技パフォーマンスを最大限高めたい
という人は、もう少し細かな調整を考えます。
例えば、
- 筋力・筋肥大が優先なら筋トレを先に行う
- 負荷の高い持久系トレーニングを別日に分けることを検討する
- 筋肉痛や脚の疲労を確認する
- 筋トレの重量や回数が落ちていないか確認する
といった方法です。
筋肥大を目指すなら食事と休養も忘れない
筋トレと有酸素運動の組み合わせを考えるとき、運動方法ばかりに目が向きがちです。
しかし、筋肉を増やしたいのであれば、食事と休養もセットで考える必要があります。
有酸素運動を増やせば、その分エネルギー消費量も増えます。
筋トレを頑張り、有酸素運動も増やし、さらに食事を極端に減らしてしまえば、筋肉を増やすために必要なエネルギーや栄養素を十分に確保できない可能性があります。
筋トレをしている人は、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などからタンパク質を摂ることも意識しましょう。
筋トレ+有酸素運動の注意点
メリットがあるからといって、運動量を増やせば増やすほどよいわけではありません。
特に注意したいのがやりすぎです。
運動初心者が、「毎日筋トレ+毎日ランニング」のようなスケジュールを組むと、負荷が大きすぎる場合があります。
例えば、
- 強い筋肉痛が何日も続く
- 関節に痛みがある
- 疲労感が抜けない
- 睡眠の状態が悪くなった
- 筋トレの重量や回数が下がり続けている
- 運動すること自体がつらくなってきた
といった場合は、さらに頑張るのではなく、運動量や休養を見直しましょう。
よくある質問
まとめ 体育教師×トレーナーとしての結論
「有酸素運動をすると筋肉がつかなくなるから、筋トレだけにした方がいい」
という考え方は、少なくとも一般的な健康づくりを目的とする40〜50代にはおすすめしません。
2026年のアンブレラレビューでは、筋トレと持久系トレーニングを組み合わせても、筋トレのみと比較して筋力・パワー・筋肥大を大きく損なわず、有酸素能力も高められるという全体像が示されました。
そのため、
- 最近体力が落ちてきた
- 健康のために運動を始めたい
- 筋肉も体力も落としたくない
という人なら、筋トレ+有酸素運動は相性のよい組み合わせと考えてよいでしょう。



まずは、週2回程度の筋トレ+無理のないウォーキングから始めてみてください。
そして筋力アップを優先するなら、同じ日に行う場合は、筋トレ→有酸素運動という順番を基本にすると分かりやすいでしょう。
一方、本格的な筋肥大や競技パフォーマンスを最優先する人は、筋トレを先に行う、強度の高い持久系トレーニングを別日にすることを検討する、疲労状態を確認するといった調整も必要になります。
筋力、持久力、食事、睡眠・休養。
それぞれを無理なく整えていくことが、10年後、20年後も自分の足で動き続けるための土台になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考にした公的機関・論文
Held S, Wolf L, Rappelt L, et al. Maximizing Adaptations in Concurrent Training: An Umbrella Review of Meta-analyses. Sports Medicine. 2026;56(6):1489-1512. doi:10.1007/s40279-026-02401-y.
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
厚生労働省 e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 情報シート:筋力トレーニングについて」
厚生労働省 e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 情報シート:身体活動とエネルギー・栄養素」


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