健康診断の結果を見て、
血糖値が高めと言われたけれど、何を意味するの?
空腹時血糖とHbA1cは何が違う?
食事や運動をどう変えればよい
と疑問に思っていませんか。
結論からいうと、血糖値は血液中に含まれるブドウ糖の濃度を表す数値です。ブドウ糖は体を動かす大切なエネルギー源であり、血糖値は低ければ低いほどよいわけではありません。

大切なのは、高い状態や大きな変動を繰り返さないようにしながら、健康診断の結果を継続して確認することです。
この記事では、血糖値の仕組み、数値の見方、高くなる原因、40代・50代が今日から行える食事と運動を、現役の体育教師×パーソナルトレーナーが初心者向けに解説します。
この記事は一般的な健康情報です。糖尿病の診断や治療の代わりにはなりません。健診で異常を指摘された方、糖尿病の治療中の方、体調に不安がある方は、自己判断で食事や薬を変えず、医師や管理栄養士へ相談してください。
血糖値とは?
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度です。単位には「mg/dL」が使われます。
ご飯、パン、麺、果物などに含まれる糖質は、消化・吸収されて主にブドウ糖となり、血液を通して全身へ運ばれます。ブドウ糖は脳や筋肉などが働くために欠かせないエネルギー源です。
インスリンは血糖値の調整役
食後に血糖値が上がると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪細胞などへ取り込ませ、血糖値を一定の範囲へ戻す働きをします。
しかし、インスリンが十分に分泌されない、またはインスリンが効きにくい状態になると、血液中にブドウ糖が残りやすくなります。この状態が長く続く病気が糖尿病です。
血糖値とHbA1cの違い
健康診断では、血糖値と一緒に「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」を見ることがあります。
| 項目 | 何がわかる? | 特徴 |
| 血糖値 | 採血した時点の血糖の濃度 | 食事や運動などの影響を受ける |
| HbA1c | 過去1~2か月程度の血糖状態の目安 | 直前の食事だけでは大きく変わりにくい |
どちらか一方だけでなく、複数の検査結果や症状を医師が総合して判断します。
血糖値の数値はどう見る?基準の目安
日本糖尿病学会の診断基準では、次の値を満たすと「糖尿病型」と判定されます。
| 検査 | 糖尿病型の基準 |
| 早朝空腹時血糖値 | 126mg/dL以上 |
| 75gOGTT 2時間値 | 200mg/dL以上 |
| 随時血糖値 | 200mg/dL以上 |
| HbA1c | 6.5%以上 |
75gOGTTとは、一定量のブドウ糖を飲み、時間を追って血糖値を測る検査です。普段の食事をした2時間後の数値と同じ意味ではありません。
また、空腹時血糖値が100~109mg/dLは「正常高値」、110~125mg/dLは空腹時血糖異常(IFG)の範囲として扱われます。ただし、健診機関の判定区分と糖尿病の診断基準は完全に同じではありません。
血糖値が高い状態が続くとどうなる?
血糖値が少し高くても、初期には自覚症状がほとんどないことがあります。そのため、健康診断で定期的に確認することが大切です。
高血糖が長期間続くと血管が傷つき、将来的に次の合併症につながる可能性があります。
- 網膜症:目の網膜が障害され、視力へ影響する
- 腎症:腎臓の働きが低下する
- 神経障害:手足のしびれや感覚低下などが起こる
- 心筋梗塞・脳卒中:動脈硬化に関連する病気のリスクが高まる
一方、のどの渇き、尿の回数が多い、体重が理由なく減る、強い疲れなどは高血糖で見られることがありますが、症状だけでは判断できません。
食後の眠気も、睡眠不足、食事量、飲酒、薬、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな原因で起こります。「眠いから血糖値スパイク」と自己判断しないようにしましょう。
血糖値が高くなりやすい主な原因
血糖値には、遺伝的な体質、年齢、病気、薬なども関係します。生活習慣だけが原因とは限らず、本人の努力不足と決めつけるのは適切ではありません。
生活の中では、次の要因が重なると血糖値が高くなりやすくなります。
糖質に偏った食事や甘い飲み物
白米、パン、麺などが悪い食品というわけではありません。ただし、菓子パンと甘い飲み物だけ、ラーメンとチャーハンの組み合わせなど、糖質に偏った食事を一度に多く摂ると、食後血糖が上がりやすくなります。
運動不足と長時間の座りすぎ
筋肉はブドウ糖を取り込み、エネルギーとして使う大切な組織です。体を動かす機会が少ない生活が続くと、血糖管理に不利に働く可能性があります。
40代・50代は、仕事、家事、車移動などで座る時間が長くなりがちです。まとまった運動だけでなく、長時間座り続けない工夫も大切です。
内臓脂肪の増加
内臓脂肪が増えると、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」と関係します。ただし、やせている人でも、体質やインスリン分泌の低下によって血糖値が高くなることがあります。
睡眠不足・不規則な生活・ストレス
睡眠不足や強いストレスは、食欲、活動量、ホルモンの働きに影響し、血糖管理を難しくすることがあります。食事と運動だけでなく、睡眠を含めて生活全体を見ることが必要です。
血糖値と体重の関係
血糖値を整えれば、それだけで必ずやせるわけではありません。体脂肪が増える基本的な要因は、長期的に摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることです。
ただし、甘い飲み物、菓子、菓子パンなどを頻繁に摂る習慣は、糖質とエネルギーを過剰に摂りやすくします。食事の質を整え、筋肉を動かす習慣をつくることは、血糖管理と体重管理の両方に役立ちます。
血糖値を管理するために今日からできる5つの習慣
1.主食・主菜・副菜をそろえる
主食だけで食事を終わらせず、肉・魚・卵・大豆製品などの主菜と、野菜・海藻・きのこ類などの副菜を組み合わせましょう。
例:おにぎりだけなら、ゆで卵と海藻サラダを足す。
2.甘い飲み物を日常の水分補給にしない
清涼飲料水、加糖カフェラテ、砂糖入りコーヒーなどは、短時間で糖質を摂りやすい飲み物です。普段の水分補給は水、麦茶、無糖のお茶を基本にしましょう。
3.食後に10~15分ほど軽く動く
食後のウォーキングは、食後血糖の上昇を抑える助けになります。最初から20~30分歩けなくても構いません。
- 皿洗いや片づけをする
- 近所を10分歩く
- 自宅で軽く足踏みをする
- 体調に問題がなければ、椅子からの立ち座りを行う
4.有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせる
日本糖尿病学会は、2型糖尿病の管理に有酸素運動とレジスタンス運動を推奨しています。
運動初心者なら、まずは次の内容から始めましょう。
- ウォーキング:10~20分を週3回から
- 椅子スクワット:8~12回を1~2セット、週2回から
- 座りっぱなし:30~60分ごとに一度立つ
5.健診結果を記録し、睡眠と体重も一緒に見る
血糖値は一度の行動だけで評価せず、健康診断や診察で継続して確認します。血糖値・HbA1cに加え、体重、腹囲、睡眠、歩数なども記録すると生活との関係を振り返りやすくなります。
忙しくて毎食の栄養バランスを整えるのが難しい方へ
カロリー、たんぱく質、食塩相当量、主食の有無はサービスごとに異なりますが、こう言った宅配サービスに頼るのも1つの手です(^^)
この生活改善のメリットと注意点
メリット
- 血糖管理だけでなく、体力・筋力・体重管理にも役立つ
- 極端な食事制限より継続しやすい
- 健康診断の結果を生活改善につなげやすい
- 食後10分の歩行など、小さく始められる
注意点
- 食事や運動だけで、すべての高血糖が改善するわけではない
- 糖尿病の薬やインスリンを使用している人は、運動で低血糖になることがある
- 腎症、網膜症、心臓病、足の傷やしびれがある場合は、運動内容の調整が必要
- 極端な糖質制限や、薬の中断を自己判断で行わない
医療機関へ相談する目安
- 健康診断で空腹時血糖126mg/dL以上またはHbA1c 6.5%以上を指摘された
- 再検査・要受診・要精密検査と書かれている
- のどの渇き、多尿、理由のない体重減少などが続く
- 生活改善をしても数値が悪化する
- 糖尿病の家族歴があり、数値も高めである
よくある質問
まとめ 体育教師×トレーナーとしての結論
血糖値を整えるために、最初から厳しい糖質制限や長時間の運動を行う必要はありません。
私が運動初心者の方におすすめする優先順位は、次の3つです。
- 健診結果を確認し、要受診なら先に医療機関へ行く
- 甘い飲み物または「主食だけの食事」を一つ見直す
- 食後に10分歩き、週2回の筋力トレーニングへつなげる



大切なのは、完璧・極端な方法を短期間だけ行うことではなく、自分の体調に合う行動を続けることです。
血糖値は生活習慣だけで決まるものではありません。
必要な医療を受けながら、食事・運動・睡眠を少しずつ整えていきましょう(^^)
自分に合う運動量がわからない方へ
健診結果で要受診の場合は、まず医療機関へご相談ください。そのうえで、運動初心者向けに、体力や生活時間に合わせた無理のない運動習慣づくりをサポートしています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
参考文献・公的資料
- 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第1章 糖尿病診断の指針
- 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第3章 食事療法
- 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第4章 運動療法
- 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病とは」「糖尿病は早く見つけましょう」
- 厚生労働省 健康づくりサポートネット「血糖(糖尿病)」
- Engeroff T, et al. After Dinner Rest a While, After Supper Walk a Mile? A Systematic Review with Meta-analysis on the Acute Postprandial Glycemic Response to Exercise Before and After Meal Ingestion. Sports Med. 2023.


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