「最近、便が硬くてスッキリしない……」
そんなとき、「便秘には食物繊維をたくさん摂ればいい」と思っていませんか?
野菜やきのこを増やしたり、玄米に変えたりする人もいるでしょう。
もちろん、食物繊維は便通や健康維持に大切な栄養成分です。
しかし、食物繊維なら何でも同じように働くわけではありません。
2026年に公表された研究では、慢性特発性便秘の成人について食物繊維の種類を比較したところ、「どの食物繊維を選ぶか」によって期待できる効果が違う可能性が示されました。
特に注目したいのが、粘性のある水溶性食物繊維です。
この記事では、体育教師・パーソナルトレーナーの視点から、
- 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違い
- 2026年の研究で分かったこと
- 便秘対策で意識したい食品
- 40〜50代が今日からできる食事の工夫
- 食物繊維を増やすときの注意点
を分かりやすく解説します。

結論からいうと、「便秘だから、とにかく食物繊維を増やす」ではなく、種類も意識しながら食生活全体を整えることが大切です。
便秘対策は「食物繊維の量」だけ考えればいいわけではない
便秘対策として食物繊維が重要なのは間違いではありません。
ただし、
- 野菜を大量に食べる
- 食物繊維の量だけ増やす
という考え方では不十分です。
そもそも食物繊維にはさまざまな種類があり、性質も異なるからです。
大きく分けると、
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 水溶性食物繊維 | 水に溶け、種類によっては粘性のあるゲル状になる |
| 不溶性食物繊維 | 水に溶けにくく、水分を吸収して便のかさを増やす |
という違いがあります。
さらに水溶性食物繊維の中でも、粘性や発酵性などの性質は同じではありません。
つまり、「水溶性か不溶性か」だけでなく、食物繊維にはそれぞれ異なる特徴があると考えたほうがよいのです。
2026年の研究で分かった「便秘と食物繊維」の新しい考え方
2026年7月20日、慢性特発性便秘の成人を対象にした食物繊維についてのシステマティックレビュー・ネットワークメタアナリシスが公表されました。
対象となったのは、17件のランダム化比較試験(RCT)、合計1,423人です。
ネットワークメタアナリシスとは、複数の治療法や介入方法を、直接比較した研究だけでなく間接的なデータも利用しながら比較する研究手法です。
今回の研究では、さまざまな種類の食物繊維が比較されました。
粘性のある水溶性食物繊維が有望だった
特に注目したい結果が、粘性のある水溶性食物繊維(viscous soluble fiber)です。
研究では、プラセボと比較して、
- 排便困難:改善(高い確実性)
- 便の硬さ:改善(中程度の確実性)
- 排便回数:改善(中程度の確実性)
との結果でした。
さらに食物繊維の種類を順位づけした解析でも、粘性のある水溶性食物繊維は、
「いきみにくさ」「便の硬さ」「排便回数」
などで比較的よい結果となる可能性が示されています。
不溶性食物繊維が悪いわけではない
ここで注意したいのが、「不溶性食物繊維は便秘に意味がない」わけではないということです。
今回の研究では、不溶性食物繊維は「便秘症状全体」の改善について最も高く順位づけされました。
ただし、この結果についてはエビデンスの確実性が非常に低いと評価されています。
したがって、「水溶性が正解、不溶性は不要」と単純化するのも適切ではありません。
水溶性食物繊維は何を食べれば摂れる?
「では、水溶性食物繊維を摂るには何を食べればいいの?」
と思いますよね。
毎日の食生活では、次のような食品を組み合わせてみましょう。
1.オート麦
オートミールなどに使われるオート麦には、β-グルカンと呼ばれる水溶性食物繊維が含まれています。
朝食が、「白いパンとコーヒーだけ」
という人なら、オートミールを取り入れるのも一つの方法です。
たとえば、
オートミール+ヨーグルト+キウイ
などにすると、穀類だけでなく果物も一緒に摂れます。
2.大麦
大麦にもβ-グルカンが含まれています。
「オートミールは苦手……」
という人なら、いつもの白米に大麦を混ぜる方法もあります。
毎日食べる主食を少し変えるだけなので、特別な便秘対策を続けるより習慣化しやすいのがメリットです。
3.豆類
大豆、納豆などの豆類も食物繊維を摂るために役立ちます。
豆類のよいところは、食物繊維だけでなく、たんぱく質なども一緒に摂れることです。
40〜50代では筋肉量を維持することも大切なので、「食物繊維だけを摂る」のではなく、食事全体の栄養バランスを整えるという意味でも取り入れやすい食品です。
4.果物
果物にも水溶性・不溶性を含むさまざまな食物繊維が含まれています。
たとえば、
- キウイ
- りんご
- みかん
- いちご
などです。
40〜50代なら「一品追加」から始めよう
便秘が気になるからといって、明日から食生活をすべて変える必要はありません。



体育教師・トレーナーとして健康づくりを考えるとき、私が大切だと考えているのは、「正しいことを一気にやる」より「続けられることを少しずつ増やす」ことです。
40〜50代は、仕事や家事で忙しい人も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、普段の食事に1品だけ足す・置き換える方法です。
| 今までの食事 | 取り入れ方の例 |
|---|---|
| 朝はパンだけ | 果物やヨーグルトを追加 |
| 白米だけ | 大麦を混ぜる |
| 朝食を抜く | オートミールなど簡単な朝食を検討 |
| 昼食が麺だけ | 豆類や野菜の副菜を追加 |
| 夕食の野菜が少ない | 野菜・海藻・豆類を1品追加 |
大切なのは、特定の食品だけに頼らず、いろいろな食品から食物繊維を摂ること。
そもそも食物繊維はどれくらい摂ればいい?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食物繊維の目標量が設定されています。
40〜50代に関係する年代では、
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 30〜49歳 | 22g以上/日 | 18g以上/日 |
| 50〜64歳 | 22g以上/日 | 18g以上/日 |
が目標量です。
ただし、この数字を見て、「22g食べれば便秘が治る」という意味ではありません。
食事摂取基準は健康の保持・増進や生活習慣病予防などを目的とした基準であり、個人の便秘を治療するための処方量ではないからです。
「何g食べたか」だけにこだわるのではなく、
- 穀類
- 野菜
- 豆類
- 果物
- 海藻類
- きのこ類
などを組み合わせ、食事全体から摂ることを意識しましょう。
食物繊維を増やすときの3つの注意点
食物繊維は健康に役立つからといって、多ければ多いほどよいわけではありません。
注意点1.急に大量に増やさない
普段あまり食物繊維を摂っていない人が、突然大量に増やすと、
- お腹が張る
- ガスが増える
- 腹部に不快感が出る
といった症状が起こることがあります。
特に「健康によさそうだから」と食物繊維の多い食品やサプリメントを一気に増やすのはおすすめしません。
注意点2.水分も忘れない
食物繊維だけではなく、水分も意識しましょう。
特に食物繊維を増やす場合には、水分摂取も重要です。
ただし、「水を大量に飲めば便秘が治る」という意味ではありません。
注意点3.食物繊維だけで解決しようとしない
便秘にはさまざまな原因があります。
食生活だけでなく、
- 運動不足
- 生活リズム
- 排便習慣
- 薬剤
- 基礎疾患
などが関係する場合もあります。
そのため、「便秘=食物繊維不足」と決めつけないことも重要です。
今回の研究結果を一般の人にそのまま当てはめない
今回紹介した2026年のネットワークメタアナリシスには、大切な注意点があります。
研究対象は、慢性特発性便秘(CIC)の成人です。
慢性特発性便秘とは、明らかな原因となる病気などを特定できない状態で慢性的な便秘が続くものを指します。
そのため、
- 健康な人も粘性水溶性食物繊維を選べば必ず便通がよくなる
- すべての便秘で水溶性食物繊維が最もよい
とまでは言えません。
また、ネットワークメタアナリシスによる順位は、単純な「食物繊維ランキング」ではありません。
研究によって使用された食物繊維や量、期間、対象者なども異なります。
こんな便秘は食事だけで様子を見続けない
便秘があるからといって、すべての人が医療機関を受診しなければならないわけではありません。
しかし、
- 便秘が長期間続いている
- 血便がある
- 原因不明の体重減少がある
- 強い腹痛がある
- 急に便通が変化した
- 日常生活に大きな支障が出ている
などの場合は、「食物繊維を増やして様子を見よう」と自己判断を続けず、医療機関への相談を検討してください。
よくある質問
体育教師×トレーナーとしての結論|「量」より一歩進んで「種類」も考えよう
便秘対策というと、「野菜を食べる」「食物繊維を増やす」というアドバイスが定番です。
これは間違いではありません。
しかし、今回の研究から見えてくるのは、もう一歩先の考え方です。
「食物繊維をどれだけ摂るか」だけでなく、「どんな食物繊維を摂るか」も考える。
特に、便が硬い、いきまないと出にくいといった悩みがある場合、粘性のある水溶性食物繊維を含む食品にも目を向ける価値があります。
今日からなら、
「朝食に果物を足す」
「白米に大麦を混ぜる」
「オートミールを試してみる」
「豆類を1品追加する」
くらいからで十分です。



健康づくりは、完璧な食事を数日続けることより、無理なく続けられる小さな改善を積み重ねることが大切です(^^)
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考にした公的機関・論文
- Mou J, et al. Efficacy of different dietary fibers for chronic idiopathic constipation: a systematic review and network meta-analysis. Food & Function. 2026;17(14):6315-6326. DOI: 10.1039/D6FO00286B
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「食物繊維」
- American Gastroenterological Association / American College of Gastroenterology Clinical Practice Guideline: Pharmacological Management of Chronic Idiopathic Constipation


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