はじめに

体育教師×スポーツトレーナーのしゅんせいです。
この記事では
- 「平熱って何度が普通?」
- 「体温が低いと良くないって本当?」
という疑問に、体育教師×トレーナーの視点から、わかりやすく解説します。
体温は毎日測ることも多い身近な指標ですが、なぜ一定に保たれているのかまで考える機会は意外と少ないです。
この記事を読んでいただくと
- 体温の基本的な仕組み
- 体温が一定に保たれる理由
- 健康管理と体温の関係
が、理解できます。
体温の基本
体温とは何か
体温とは、体の内部で生命活動を維持するために保たれている温度のこと。
体温は代謝活動によって発生する熱と、外部に逃げる熱のバランスで一定に保たれ、健康管理の重要なバロメーターです。
体温の役割
体温の役割は、生命活動に不可欠な体内での化学反応(代謝)を最適な状態に保ち、免疫機能を正常に働かせることです。
体温が一定でないと、食物からエネルギーを作る酵素などがうまく働かず、体は正常に機能できません。風邪で熱が出るのは、体温を上げてウイルスや細菌と戦うための免疫反応であり、体温は生命維持と病気予防の要となります
- 酵素の活性化
体内で行われる栄養素の分解やエネルギー変換などの化学反応には「酵素」が触媒として必要です。酵素は狭い温度範囲(最適温度は37℃前後)で最も効率よく働くため、体温を一定に保つことでその働きを助けます。 - 免疫力の維持・向上
体温が下がると血流が悪くなり、免疫細胞(白血球など)の働きが低下します。逆に体温が上がると、免疫細胞が活性化され、ウイルスや細菌と戦う力が強まります。発熱は、免疫力を高めるための体の防御反応です。 - 血行の促進
体温が上がると血管が広がり血行が良くなります。これにより、酸素や栄養素が全身に効率よく運ばれ、老廃物の排出や疲労回復が促進されます。 - 体温調節機能
暑い時には汗をかいて熱を放散させ、寒い時には血管を収縮させて熱が逃げるのを防ぐなど、外部環境の変化から体温を一定に保ちます(恒常性維持機能)。
- 低体温
免疫力低下による病気(風邪、インフルエンザなど)にかかりやすくなるほか、体の機能が低下します。 - 高体温(発熱)
感染症と戦うための重要な反応ですが、高熱が続くと体内のタンパク質(酵素など)が変性し、機能障害を引き起こす危険性があります。



このように、体温は生命活動の基盤であり、体温を適切に保つことは健康維持に不可欠です。
体温の主な種類
- 基礎体温
生命維持に必要なエネルギーしか使っていない、安静時の体温。健康状態を知る指標となります。 - 皮膚温(表在体温)
体の表面の温度で、手足の末端や皮膚に近い部分は外気温の影響を受けやすく、低い温度を示します。 - 核心温(深部体温・中枢温)
脳や心臓などの重要な臓器の温度で、外部環境に左右されにくく、約37℃前後に保たれています。一般家庭での測定は困難ですが、人体の真の体温とされます。
体温が36℃前後に保たれる理由
体温が36℃前後に保たれるのは、体内の酵素が最も活発に働く温度(約37℃)を維持するためです。
この温度は、新陳代謝や免疫力が正常に機能するために不可欠で、体温が低すぎたり高すぎたりすると、生命活動に必要な化学反応が滞ってしまうのです。
- 酵素の活性化
人間の体内で働く多くの酵素(消化や代謝を助ける物質)は、36℃~37℃くらいの体温で最もよく機能します。 - 視床下部による制御
脳の視床下部にある体温調節中枢が、皮膚のセンサーからの情報を受け取り、体温が上がりすぎれば汗をかいたり血管を広げたりして熱を放散させ、低すぎれば筋肉を震わせたり(熱産生)して体温を上げようとします。 - 熱のバランス
外部の環境が変化しても、体内で熱が作られる量(化学的熱産生)と、体外へ熱が逃げる量(物理的熱放散)のバランスが常に調整され、体温が一定に保たれます。
- 新陳代謝の維持
体温が低いと新陳代謝が低下し、体がだるくなったりします。 - 免疫力の低下
体温が1℃下がると免疫力が約30%低下すると言われており、病気にかかりやすくなります。 - 酵素の機能低下
高すぎても低すぎても酵素の働きが止まってしまうため、生命活動全体が影響を受けます。



このように、36℃前後の体温は、私たちが健康に活動し、病気から身を守るための「快適な作業環境」として体が設定している温度なのです。
体温を調節する仕組み
体温調節は、脳の視床下部が司令塔となり、暑いときは汗をかいたり皮膚の血管を広げたりして熱を放出し、寒いときは皮膚の血管を収縮させたり筋肉を震わせたり(シバリング)して熱を産生・保持することで、体温を約36℃前後に保つ仕組みです。



体温が上下する仕組みを分けてみていきましょう
体温を上げる仕組み
体温を上げる仕組みは、主に脳の視床下部が体温調節の司令塔となり、熱を生み出す(産熱)ことと熱を逃がさない(放熱抑制)ことのバランスを取ることで行われます。
寒さによる体温上昇(産熱・放熱抑制)
- 皮膚のセンサーが寒さを感知
皮膚の温度受容器が寒さを感じ取り、情報を脳(視床下部)に伝えます。 - 熱を産生する
筋肉の震え(ふるえ): 骨格筋を小刻みに収縮させ、エネルギー消費に伴い熱を発生させます(ふるえ熱)。
代謝の亢進: 甲状腺ホルモン(チロキシンなど)や副腎皮質ホルモンが肝臓や筋肉に作用し、代謝を上げて熱を産生します(ふるえ熱の後に起こることも)。
褐色脂肪細胞の活性化: 交感神経を介して褐色脂肪細胞が熱を生み出すこともあります。 - 熱を逃がさない
皮膚の毛細血管を収縮させ、体表への血流を減らして熱が外に逃げるのを防ぎます。
感染などによる発熱(設定温度の上昇)
- 免疫反応
細菌やウイルスが侵入すると、免疫細胞(白血球など)がサイトカインを放出します。 - 視床下部への指令
サイトカインが脳の視床下部に作用し、プロスタグランジンという物質を介して体温の「設定温度(セットポイント)」を上昇させます。 - 体温の再設定
身体は新しい設定温度(平熱より高い温度)に合わせようと、上記の産熱・放熱抑制の反応を起こし、体温を上げます。体が寒く感じるのはこのためです。
ホルモンによる体温上昇(女性の基礎体温)
- 黄体ホルモン
排卵後、黄体から分泌される黄体ホルモンが視床下部に作用し、体温を上昇させます(基礎体温の高温期)。



体温調節は、これらの複数の経路が複雑に連携し、体温を一定に保つ(恒常性)ための重要な生理機能です。
体温を下げる仕組み
体温を下げる仕組みは、脳の視床下部が司令塔となり、発熱を抑え(代謝抑制)、熱を体外に放出する(放熱促進)という2つの方法で制御されます。
体温を下げる主なメカニズムを見ていきましょう。
脳による指令(視床下部)
- 視床下部が体温が上昇したことを感知します。
- 「体温を下げろ」という指令を自律神経などを通じて各器官に送ります。
発熱の抑制(熱の産生を減らす)
- 副交感神経を優位にし、心臓の拍動を抑えたり、肝臓での代謝活動を抑制して熱の発生自体を減らします。
放熱の促進(熱の放出を増やす)
- 発汗(汗腺の活性化)
汗腺から汗を出し、皮膚表面で汗が蒸発する際の「気化熱」を利用して熱を奪い取ります。これは最も効果的な放熱方法です。 - 皮膚の血管拡張(血流増加)
皮膚の血管(毛細血管)を広げ、体内の温かい血液を皮膚表面に多く集めます。これにより、体表面から熱が放射(輻射)されやすくなります。暑い時に皮膚が赤くなるのはこのためです。 - 行動性の調整
暑いと感じたら、服を脱いだり、うちわで扇いだりするなどの行動を起こすことも体温調節の一部です。



簡単にまとめると、
体温が高い時、体は「熱を作らないようにしつつ、作った熱を積極的に外に逃がそう」としています。
体温と血流・筋肉の関係
筋肉と体温の関係
- 熱の産生源
体内で作られる熱の多くは筋肉の働きによって生み出されます。安静時でも筋肉は熱を放出し、運動時はさらに多くの熱を産生します。 - 基礎代謝と体温
筋肉量が多いほど基礎代謝量(安静時のエネルギー消費量)が多くなり、その結果、体温が高くなる傾向があります。 - 冷えとの関係
筋肉量が少ないと熱を作り出す力が減るため、体が冷えやすくなります。一般的に女性が男性より寒がりなのは、男性の方が筋肉量が多いためです。
血流と体温の関係
- 熱の輸送
血液は体内で発生した熱エネルギーを全身に運ぶ役割を担っています。筋肉で作られた温かい血液が循環することで、体全体の体温が一定に保たれます。 - 体温調節
外気温に応じて、体温調節中枢が働きます。
暑い時: 皮膚表面近くの血管を広げ、多くの血液を流すことで、熱を効率的に体外へ放散させます。
寒い時: 血管を収縮させて血流を減らし、熱が体外へ逃げるのを防ぎます。
相互作用
- 血流改善
筋肉は収縮することで、血液を循環させるポンプのような役割も果たしています。適度な運動による筋力トレーニングは血流を促し、全身に温かい血液が行き渡ることで体温維持に役立ちます。 - 体温上昇
体温が上がると血流が良くなり、酸素や栄養素が細胞に行き渡りやすくなることで、細胞の修復や老廃物の排出がスムーズになり、免疫機能の向上にも繋がります。



まとめると、筋肉が熱を作り出し、その熱を血流が運ぶことで、私たちの体温は一定に保たれているのです。
血液に関して知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。


体温を整えるための基本習慣
体温を安定させるための習慣を
- 体を内側・外側から温める習慣
- 体温調節機能を維持するための習慣
この2つに分けて見ていきましょう。
1,体を内側・外側から温める習慣
- 入浴
シャワーで済まさず、湯船にゆっくり浸かることで体の内部(深部体温)まで温まり、血流が改善されます。 - 体を温める食事
根菜類(人参、かぼちゃ、大根など)、生姜、にんにくなどの薬味野菜、発酵食品など、体を内側から温める食材を積極的に摂りましょう。 - 温かい飲み物
紅茶やウーロン茶、ココアなど、温かい飲み物を摂るように心がけます。特に白湯は内臓を温めるのに効果的です。 - 服装の工夫
首元、手首、足首の「3つの首」を冷やさないようにすることがポイントです。皮膚に近い場所に動脈があるため、ここを温めると効率よく血液を温められます。
2,体温調節機能を維持するための習慣
- 適度な運動
筋肉は体内で熱を発生させる主要な源です。定期的な運動、特にウォーキングなどの有酸素運動や軽い筋トレは、血行を促進し、体温を上げるのに役立ちます。 - 良質な睡眠
睡眠不足は疲労を蓄積させ、体温調節機能を低下させる原因となります。十分な睡眠時間を確保しましょう。 - こまめな水分補給
喉が渇く前に水分を補給することが重要です。水分が不足すると血液量が減り、熱を運びにくくなります。 - 栄養バランスの取れた食事
特定の食材だけでなく、米・肉・魚・野菜・卵など様々な食品をバランス良く摂取し、エネルギー不足にならないようにします。



これらの習慣を見直し、日常生活に取り入れることで、季節を問わず体温を適切に整えていきましょう。
運動・睡眠・水分補給に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。






まとめ
- 体温とは、体の内部で生命活動を維持するために保たれている温度
- 36℃前後の体温は、健康に活動し、病気から身を守るための「快適な環境」
- 上がりすぎたり下がりすぎたりした際は身体の各器官が調整している
- 飲食、入浴、服装で調整する
- 運動、栄養、睡眠を整えて体温調節機能を活発に
小さな習慣の積み重ねが、健康につながる一歩になります。
まずは「自分の体温ってどんな状態かな?」と意識したり把握したりしましょう。



体温と関連して、「血圧」「血糖値」のこともこの機会に知っておきましょう。




最後までお読みいただきありがとうございました!


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