「平熱が35℃台だけれど大丈夫?」
「運動すると、なぜ体が熱くなるの?」
「体温は、いつ測るのが正しい?」
体温は健康状態を確認するための身近な指標ですが、数値の意味や正しい測り方は意外と知られていません。
最初に結論をお伝えすると、体温は常に一定ではなく、時間帯・測定場所・活動量・体調などによって変わります。
そのため、「何度なら必ず正常」「何度なら必ず病気」と、一つの数値だけで判断するのは適切ではありません。
大切なのは、次の3点です。
- 自分の普段の体温を知っておく
- できるだけ同じ条件で測る
- 体温だけでなく、症状や体調の変化も確認する

この記事では、体温の仕組みから正しい測り方、日常生活でできる体温管理まで、体育教師・パーソナルトレーナーの視点で分かりやすく解説します。
この記事は一般的な健康情報を提供するものであり、病気の診断や治療を目的としたものではありません。体温の異常や強い症状がある場合は、医療機関へ相談してください。
平熱は何度?一律の正常値だけでは判断できない
平熱とは、一般に健康な状態で測った、その人なりの体温を指します。
インターネットでは「平熱は36〜37℃」などの情報が見られますが、実際の体温には個人差があります。
さらに、同じ人でも次の条件によって数値が変わります。
- 測定した時刻
- 測定した場所
- 運動や入浴の有無
- 食事
- 睡眠
- 外気温
- 年齢
- 月経周期
- 体調や服薬状況
体温は朝と夕方で変わる
体温には、1日の中で変化する「日内変動」があります。
一般に、体温は早朝に低く、日中の活動に伴って上がり、夕方ごろに高くなる傾向があります。その後、夜になると睡眠に向けて下がっていきます。
このため、朝に測った体温と夕方に測った体温が違っていても、それだけで異常とは限りません。
測る場所によって数値が違う
体温は、測定する場所によっても異なります。
| 測定場所 | 特徴 |
|---|---|
| わき | 家庭で一般的。正しい位置に挟むことが重要 |
| 口 | わきより体の内部に近い温度を測りやすい |
| 耳 | 鼓膜周辺の赤外線を利用。測定方法による差が出やすい |
| 額 | 短時間で測れるが、外気温や汗の影響を受けやすい |
| 直腸 | 深部体温に近いが、家庭での日常測定には一般的ではない |
異なる測定場所の数値を、そのまま比較することはできません。
平熱・基礎体温・深部体温・皮膚温の違い
混同されやすい4つの言葉を整理しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 平熱 | 健康なときの、その人なりの普段の体温 |
| 基礎体温 | 起床直後、体を動かす前に測る安静時の体温。月経周期の把握などに使われる |
| 深部体温 | 脳や内臓など、体の中心部の温度 |
| 皮膚温 | 皮膚表面の温度。外気温の影響を受けやすい |
一般的な家庭用体温計で測るわきの体温は、深部体温そのものではありません。体の内部の温度を推定するための身近な指標として使われています。
体温を一定に保つ仕組み
人の体は、外気温が変化しても体の中心部の温度を一定の範囲に保とうとします。この働きを体温調節といいます。
体温調節では、体内でつくられる熱と、体外へ逃げる熱のバランスが調整されています。
体温調節の司令塔は視床下部
体温調節の中心的な役割を担うのが、脳にある視床下部です。
視床下部は、体内や皮膚から届く温度情報を受け取り、必要に応じて次のような反応を起こします。
- 血管を広げる、または縮める
- 汗を出す
- 筋肉を震わせる
- 代謝による熱産生を調節する
- 暑い場所や寒い場所を避ける行動を促す
寒いときは熱をつくって逃がさない
寒い環境では、体は主に次の方法で体温の低下を防ぎます。
- 皮膚の血管を縮め、体表から逃げる熱を減らす
- 筋肉を震わせて熱をつくる
- 体を丸めるなどして、熱が逃げる面積を減らす
- 上着を着る、暖かい場所へ移動する
暑いときは熱を体外へ逃がす
暑い環境や運動中には、体内に熱がたまりやすくなります。
そこで体は、次の反応によって熱を逃がします。
- 皮膚の血管を広げる
- 皮膚への血流を増やす
- 汗を出し、その蒸発によって熱を逃がす
- 涼しい場所へ移動する
- 衣服を調整する
ただし、湿度が高い環境では汗が蒸発しにくくなり、体から熱を逃がしにくくなります。
体のどこで熱がつくられる?
体内の熱は、食べたものから得たエネルギーを使う過程で生まれます。
安静にしているときも、呼吸・心拍・体温維持・内臓の働きなどにエネルギーが必要です。この生命維持に使われる最低限のエネルギー消費が、一般に基礎代謝と呼ばれます。
安静時と運動時で熱源が変わる
安静時には、肝臓や脳、心臓、腎臓、筋肉など、さまざまな組織が熱産生に関わります。
一方、運動中は筋肉の活動量が増えるため、筋肉で生まれる熱が大幅に増加します。
筋肉量と体温の関係
筋肉は熱をつくる組織の一つですが、筋肉を増やせば必ず平熱が上がるとは言い切れません。
体温には、次のような多くの要因が関係するからです。
- 筋肉量
- 活動量
- 血流
- ホルモン
- 自律神経
- 睡眠
- 栄養状態
- 気温や服装
- 病気や服薬
筋力トレーニングやウォーキングには、体力維持や生活習慣病予防など多くのメリットがあります。しかし、「平熱を上げること」だけを目的にするのではなく、健康と体力を総合的に整える習慣として取り入れましょう。
体温を正しく測る方法
家庭で一般的に使われている、わき式体温計の測り方を確認しましょう。
わき式体温計の正しい使い方
- わきの汗を乾いたタオルなどで拭く
- 体温計の先端を、わきの中央のくぼみに当てる
- 体温計を下から押し上げるように入れる
- 上半身に対して30度ほどの角度になるようにする
- わきをしっかり閉じ、反対の手で腕を押さえる
- 測定終了の音が鳴るまで動かずに待つ
体温計を横から浅く差し込むと、先端が正しい位置に当たらず、測定値が安定しない可能性があります。
測定を避けたいタイミング
次の直後は体温が一時的に変化しやすいため、平熱の確認には適していません。
- 運動
- 入浴
- 食事
- 外出から戻った直後
- 飲酒
- 暑い場所や寒い場所にいた直後
予測式・実測式・非接触式の違い
| 種類 | 特徴 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 予測式 | 体温の上がり方から短時間で結果を予測 | 毎日の健康管理 | 測り方で差が出ることがある |
| 実測式 | 一定時間測り続け、実際の温度を表示 | より丁寧に確認したい場合 | 測定に時間がかかる |
| 非接触式 | 額などの赤外線を利用 | 短時間で大人数を測る場面 | 外気温・汗・測定距離の影響を受けやすい |
家庭で継続的に測るなら、使いやすく、毎回同じ条件で測定できる体温計が向いています。
まずは自分の平熱を知ることから始めましょう
平熱を正しく把握するには、毎回同じ体温計・同じ測定場所・同じ時間帯で測ることが大切です。
短時間で測れる予測式や、実測にも対応した体温計なら、毎日の健康管理を続けやすくなります。
【Amazonで電子体温計を確認する】
【楽天市場で電子体温計を確認する】
自分の平熱を知る方法
平熱は、体調のよい日に複数回測って把握します。
平熱を確認する基本手順
- 体調がよい日を選ぶ
- 同じ体温計を使う
- 同じ測定場所で測る
- 起床後・昼・夕方など、時間帯を決める
- 数日間記録する
- 時間帯ごとの傾向を確認する
体温には日内変動があるため、朝の数値と夕方の数値を一つの平均にまとめるより、時間帯ごとの普段の体温を知っておくことが役立ちます。
冷え性と低体温症は同じではない
「手足が冷える」という冷え性と、医学的に緊急性のある低体温症は同じものではありません。
冷え性
冷え性は、本人が手足や体の冷えをつらいと感じる状態を指すことが多く、病名として一律に定義できるものではありません。
体温計の数値が低いとは限らず、血流、筋肉量、自律神経、生活習慣、服装など、さまざまな要因が関係します。
低体温症
低体温症は一般に、体の中心部の温度が大きく低下した危険な状態です。寒冷環境、水にぬれた状態、遭難などで起こる可能性があります。
次のような症状がある場合は注意が必要です。
- 強い震え
- 反応が鈍い
- 会話がおかしい
- ふらつく
- 意識がもうろうとする
- 呼吸や脈が弱い
なお、わきで35℃台が出たというだけで、医学的な低体温症と判断することはできません。測定方法や普段の体温、症状を併せて考える必要があります。
発熱と熱中症による高体温の違い
体温が高くなる状態には、発熱と高体温があります。
発熱
感染症などに反応して、脳の体温調節の設定が高い方向へ変化した状態です。体は設定された温度まで上げようとするため、悪寒や震えが起こることがあります。
熱中症による高体温
暑い環境や激しい運動により、体内でつくられた熱を十分に逃がせなくなった状態です。
熱中症では体温の数字だけでなく、次の症状に注意してください。
- めまい・立ちくらみ
- 頭痛
- 吐き気
- 強いだるさ
- 筋肉のけいれん
- 受け答えがおかしい
- 普段どおりに歩けない
- 意識がない
40代・50代が体温調節を支える5つの習慣
体温を無理に上げることを目標にするのではなく、体温調節が働きやすい生活環境を整えましょう。
1.無理のない運動を続ける
ウォーキングや筋力トレーニングは、筋力・体力の維持や血流改善に役立ちます。
運動初心者は、いきなり激しく運動するのではなく、次のような方法から始めましょう。
- 10分程度のウォーキング
- 椅子を使ったスクワット
- 軽い体操
- エレベーターを階段に替える
- 座りっぱなしの時間を減らす
体調が悪い日や暑さ指数が高い日は、運動の中止・短縮・屋内への変更が必要です。
2.水分をこまめに取る
汗をかくと、水分と電解質が失われます。
喉の渇きだけに頼らず、運動時や暑い環境では計画的に水分を取りましょう。ただし、心臓病や腎臓病などで水分・塩分制限を受けている人は、主治医の指示を優先してください。
3.極端な食事制限を避ける
食事量を大きく減らすと、エネルギーやたんぱく質などが不足し、活動量や筋肉量の低下につながる可能性があります。
主食・主菜・副菜を基本に、無理なくバランスを整えましょう。
「ショウガを食べれば平熱が上がる」など、特定の食品だけに過度な効果を期待する必要はありません。
4.睡眠を整える
体温の日内変動は、睡眠と覚醒のリズムにも関係しています。
- 起床時刻を大きくずらさない
- 朝に光を浴びる
- 就寝前の飲酒を控える
- 寝室の温度と湿度を調整する
こうした基本的な習慣を整えましょう。
5.衣服と室温を調整する
「体を冷やしてはいけない」「汗をかくほど温めた方がよい」と一律に考える必要はありません。
暑いときは涼しい服装と冷房、寒いときは重ね着や暖房を活用し、環境に合わせて調整しましょう。
特に夏は、室内でも熱中症が起こります。我慢せずエアコンを使用することが大切です。
体温管理のメリットと注意点
メリット
- 普段の体調との違いに気づきやすい
- 発熱などの経過を記録できる
- 医療機関へ症状を伝えやすい
- 運動や睡眠との関係を振り返りやすい
- 家族の健康管理にも役立つ
注意点
- 1回の数値だけで病気を判断しない
- 体温計の種類や測定場所が違う数値を単純比較しない
- 「体温を上げれば免疫力が高まる」と決めつけない
- 体温が正常でも、重い症状があれば受診を検討する
- 発熱時に無理な運動や長時間の入浴をしない
- 高温環境では、体温より症状と周囲の状況を重視する
「体温が1℃下がると免疫力が30%下がる」といった情報には、確かな根拠を確認できないものがあります。
体温に関するよくある質問
体育教師×トレーナーとしての結論



体温管理で最も大切なのは、無理に体温を上げることではなく、自分の普段の体温を知り、変化に気づくことです。
指導現場でも、「汗をかけば健康になる」「筋肉を増やせば冷えがすべて解消する」と考えている人を見かけます。しかし、体温は筋肉量だけで決まるものではありません。
運動には大きな健康効果がありますが、体温を上げるための万能な方法ではなく、睡眠・食事・水分・服装・室温調整と組み合わせることが重要です。
40代・50代からは、次の順番で取り組んでみてください。
- 体調のよい日に自分の平熱を確認する
- 1日の中でこまめに体を動かす
- 暑さ・寒さに合わせて無理なく環境を調整する
- 数値だけでなく、体の症状にも目を向ける
まとめ
- 体温は時間帯・測定場所・活動量などによって変化する
- 一律の数値だけで正常・異常を判断しない
- 平熱は同じ体温計・場所・時間帯で数日間測って把握する
- 体温調節の中心は視床下部で、血流・発汗・筋肉などが関わる
- 筋肉は熱をつくるが、筋肉を増やせば必ず平熱が上がるわけではない
- 冷え性と医学的な低体温症は別の状態
- 熱中症は体温の数字だけでなく、意識や行動の異常にも注意する
- 体温管理は、運動・食事・睡眠・水分・環境調整を総合的に考える
最後までお読みいただきありがとうございました!


コメント