「片足で靴下を履こうとすると、ふらっとする」
「階段や段差で足元が気になる」
そんなとき、特別な器具を買う前に、自宅で小さな練習から始められます。
結論は、支えのある場所で片足立ちや足の置き方を練習し、脚の筋力を使う動きも組み合わせること。
最初は運動時間や運動強度を調節して、転ばずに落ち着いて動けることを優先しましょう。

私は保健体育教師・パーソナルトレーナーの立場から、運動初心者には「難易度を上げる前に、安全に続けられる動きを選ぶ」ことをおすすめします。この記事では、家でできる5つの動き、始める量、安全の確認方法を紹介します。
- バランス能力を鍛えるときに使いたい体の働き
- 支えを使いながら取り組める自宅トレーニング5つ
- 回数・頻度の決め方と、バランスボールを使う際の注意点
バランス能力とは?「立つ・歩くときの安定」を考えよう
バランス能力は、じっと立っているときだけでなく、歩く、向きを変える、片足に体重を乗せるときにも姿勢を保つ力です。目で見た情報、足裏や関節で感じる情報、内耳からの情報、筋肉の働きなどが関わります。厚生労働省のe-ヘルスネット「バランス運動の効果と実際」も、複数の働きを組み合わせて姿勢を保つと説明しています。
練習のメリットは、片足に体重をかける・姿勢を立て直すといった動作に慣れられることです。ただし、片足立ちが上達しただけで転倒を必ず防げるわけではありません。高齢者の転倒予防では、筋力やバランスなどを組み合わせる運動の根拠がありますが、その効果の数値を40代・50代にそのまま当てはめることはできません。
40代・50代の健康づくりでは、バランスの練習に加えて普段の歩行や脚の筋トレも続けましょう。厚生労働省の成人向けガイドは、今より少しでも多く体を動かすことと、筋トレを週2〜3日行うことを勧めています。歩く運動を始めたい方は40代・50代のウォーキング完全ガイドも参考になります。
始める前に:安全な場所をつくり、無理のない難しさを選ぶ
まず、動かない台や固定された手すりのそばに立ちます。キャスター付きの椅子や、体重をかけると動く家具は支えに使いません。床の小物やラグの端を片づけ、滑りにくい履き物を選びましょう。室内で靴下を履くなら滑りにくいものにします。
目を開けて前を見て、必要なら両手を支えにつけたまま始めてください。片足立ちが不安なら、最初は両足を床につけて足を前後にずらす練習だけでも構いません。
めまいや強いふらつきがある日、体調が悪い日には行いません。運動中に胸の痛み、動悸、めまい、強い関節痛などが出たら中止してください。ふらつきが急に始まった、繰り返す、転びやすくなった場合は、運動だけで済ませず医療機関に相談しましょう。持病や服薬で運動上の注意がある方は、主治医の指示を優先します。これらの体調確認は厚生労働省の運動を安全に行うためのポイントに沿ったものです。
自宅でできるバランストレーニング5つ
次の秒数・回数は、運動に慣れていない方が試すための1つの例です。
40代・50代の全員に同じ回数が必要という意味ではありません。支えを離すことより、足元と姿勢を落ち着いて保てることを目安に調整してください。
1.支えを使った片足立ち
台に手を添えて背すじを伸ばし、片足を床から数センチだけ浮かせます。目線は前へ。左右5〜10秒ずつ、1〜2回から試しましょう。浮かせる高さは競わず、足をすぐ下ろせる範囲にします。ぐらつくときは両手で支えるか、つま先を床につけたまま体重を片側へ移しましょう。
2.足を前後にずらして立つ
台の横で、片足を半歩だけ前へ出し、前後にずらして立ちます。両足の幅は無理に狭くせず、前後を入れ替えて各10秒ほど。両足で安定して立てるようになったら、少しずつ足幅を狭めます。かかととつま先を完全に一直線に並べる必要はありません。
3.台の近くでゆっくり横へ一歩
支えのそばで両足を腰幅に開き、右へ一歩、左足を寄せて戻ります。反対も同じように行い、左右各3〜5歩を目安に。足を交差させず、小さな一歩で十分です。片足に重心を移す感覚を、歩く動きの中で練習できます。
4.かかとをゆっくり上げ下げする
両手を安定した台に添え、両足のかかとをゆっくり上げ、床まで戻します。8〜10回を目安に、勢いをつけずに行いましょう。ふくらはぎを使う脚の運動です。
5.安定した椅子から立って座る
動かない椅子に浅めに座り、足を床につけます。上体を少し前へ傾けてゆっくり立ち、手を使ってもよいので丁寧に座ります。5〜10回を目安に始めてみましょう。膝や腰に痛みが出るなら中止し、椅子の高さや動きを調整します。脚の筋力づくりをほかにも始めたい方は自宅でできる筋トレ5選を参考にして下さい。
まずは3〜5分。続けながら一つずつ調整する
たとえば「片足立ちを左右1回ずつ→足を前後にずらして各10秒→椅子から5回立つ」だけでも、数分で終えられます。週2〜3日から始めるのは続けやすさを考えた提案で、バランス運動に関する40代・50代の公的な最低回数ではありません。体調と生活に合わせて、慣れたら無理のない範囲で回数を増やしてください。
安全にできるようになったら、支えには手を添えたまま片足立ちを5秒から10秒へ伸ばす、横への一歩を少し丁寧に行う、というように一度に一つだけ変えます。
「毎回やる時間を忘れてしまう」という方は、歯磨きの後などに「台のそばで片足立ちだけ」と決めると取り入れやすくなります。続け方を考えたい方は運動を習慣化する7つのコツも参考にしてください。なお、数分の練習だけで、成人向けガイドが勧める一日の身体活動量を満たすわけではありません。
バランスボールは必要?使いたい場合の注意点
始めるのにバランスボールは必要ありません。まずは支えのある場所で立つ・一歩動く練習ができます。ボールを使う場合は、座って骨盤を小さく前後に動かすなど、両足を床につけた短時間の運動から。転がることが不安なら固定リング付きも選択肢ですが、リングがあっても転倒を完全に防げるわけではありません。
購入時は身長だけでサイズを決めず、座って両足が床につくか、置き場所を確保できるかを確認しましょう。表面に傷やひびがないか点検し、指定直径を超えて空気を入れないことも大切です。製品評価技術基盤機構(NITE)は、傷や空気の入れすぎによる破裂事故について注意を呼びかけています。座るだけで体幹が確実に鍛えられる、という期待も持ちすぎないようにしましょう。
ボールを使う運動にも興味がある方へ: 40代・50代におすすめのバランスボール5選|自宅運動に使いやすいサイズ・選び方を比較で、サイズ・転がりにくさ・付属品の違いを確認できます。買う前に、実際に行いたい動きに合うかを見てみてください。
よくある質問
まとめ|「支えを使って安全に続ける」から始めよう
バランス能力を鍛えたいときは、支えのある片足立ち、足を前後に置く練習、ゆっくりした横への一歩から始めてみてください。かかと上げや椅子からの立ち座りを加えると、脚も一緒に使えます。



体育教師×トレーナーとしての結論は、今できる動きを安全に繰り返すこと。
今日できる一種目を、台のそばで試すところから始めましょう。運動全体の組み立ては一生動ける体をつくる完全ガイドにもまとめています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考にした公的機関・資料
- 厚生労働省 e-ヘルスネット:バランス運動の効果と実際
- 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版
- 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 高齢者版
- 厚生労働省:身体活動・運動を安全に行うためのポイント
- 製品評価技術基盤機構(NITE):バランスボール使用中の破裂への注意


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