「運動前にカフェインを摂ると集中できる」
「コーヒーを飲んでから筋トレすると調子がいい」
そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。
カフェインは、スポーツ分野でも非常によく研究されている成分のひとつです。
一方で注意したいのが、「効果があるなら、もっと摂ればもっと効くのでは?」という考え方です。
結論から言えば、カフェインは多く摂れば摂るほどよいわけではありません。

つまり大切なのは、たくさん摂って最大限効かせるのではなく、自分に必要な最小限の量を探すこと。
この記事では、体育教師・パーソナルトレーナーの視点から、運動とカフェインの上手な付き合い方を分かりやすく解説します。
- 運動前にカフェインを摂るメリット
- カフェインを増やしたときの副作用
- 低用量でも効果が期待できる理由
- 体重別のカフェイン量の目安
- 夕方・夜に摂るときの注意点
カフェインは「多いほど効く」とは限らない
カフェインには、眠気を感じることなどに関係する「アデノシン」という物質の働きを妨げる作用があります。
その結果、覚醒度が高まり、運動中の疲労感などにも影響します。
スポーツ栄養の研究では以前から、カフェインによって、
- 持久系運動
- 筋持久力
- 筋力
- スプリント
- ジャンプ
などのパフォーマンスが改善する可能性が報告されてきました。
特にエビデンスが多いのが持久系運動です。
国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドでは、3〜6mg/kgのカフェイン摂取による運動パフォーマンスへの効果が多く報告されています。
しかし、ここで勘違いしてはいけません。
6mg/kgより9mg/kg、9mg/kgより12mg/kgのほうが良い、というわけではないのです。
2026年の研究で分かったカフェインの副作用
2026年に『Sports Medicine』で発表されたシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、アスリートを対象としたカフェイン摂取後の副作用が詳しく分析されました。
対象となったのは、
- 48研究
- 940人のアスリート
- 平均カフェイン摂取量 4.9±2.4mg/kg
- 摂取量の範囲 1.3〜12mg/kg
です。
38研究がメタアナリシスに使用されました。
その結果、プラセボと比較してカフェインを摂取すると、
- 頭痛
- 腹部不快感
- 頻脈
- 不眠
- 尿量の増加
- 不安感
- 神経過敏
などが増加しました。
頻脈は4倍以上のオッズ
特に目立ったのが頻脈です。
研究では、カフェイン摂取後の頻脈はプラセボと比べて4倍を超えるオッズとなりました。
「運動前にカフェインを摂ったら、いつも以上にドキドキした」
という人もいるかもしれません。
もちろん、この結果だけからカフェインが危険だと考える必要はありません。
摂取量が増えるほど副作用も増える
さらに重要なのが「用量反応関係」です。
簡単に言えば、カフェインを増やすほど、副作用も増える傾向があるということです。
今回の分析では摂取量が増えるにつれて、
- 頻脈
- 頭痛
- 腹部不快感
- 不安
- 尿量増加
などが増加しました。
そのため、
- 200mgであまり効いた気がしないから400mgにしよう
- プレワークアウトをもっと濃くしよう
と安易に増量するのはおすすめできません。
低用量でも運動パフォーマンス向上は期待できる
では、運動効果を狙うならどのくらい必要なのでしょうか。
ここで参考になるのが、2026年に発表された別のシステマティックレビュー・メタアナリシスです。
48研究・689人を対象として、カフェイン摂取量と有酸素運動のタイムトライアル成績との関係を分析しています。
研究ではカフェインを、
- 低用量:3mg/kg以下
- 中用量:4〜6mg/kg
- 高用量:6mg/kg超
に分類しました。
1.3〜3mg/kgでも効果が確認された
特に注目したいのが低用量です。
研究では、1.3〜3mg/kgでも持久系パフォーマンスを改善する可能性が示されました。
中用量の4〜6mg/kgのほうが効果は一貫していましたが、
運動効果を得るために必ず高用量のカフェインが必要なわけではない
ことが分かります。
これは一般の運動愛好者にとって非常に重要です。
私が40〜50代の運動初心者におすすめしたいのも、いきなり「効く最大量」を狙う方法ではありません。
体重別に考えるとカフェインは何mg?
「mg/kg」と言われても分かりにくいと思うので、体重別に計算してみましょう。
| 体重 | 2mg/kg | 3mg/kg | 6mg/kg |
|---|---|---|---|
| 50kg | 100mg | 150mg | 300mg |
| 60kg | 120mg | 180mg | 360mg |
| 70kg | 140mg | 210mg | 420mg |
| 80kg | 160mg | 240mg | 480mg |
たとえば体重70kgなら、
3mg/kg=210mg
です。
一方、6mg/kgでは420mgになります。
体重70kgの人が「研究で6mg/kgも使われているから」と420mgを一度に摂る必要はありません。
研究上の「効果が確認されている量」と、一般の人が「積極的に摂るべき量」は別物だからです。
カフェインの「最小限の有効量」を探そう
カフェインを運動に利用するときに、私が大切だと思う考え方があります。
それが、「最小限の有効量を探す」ことです。
「最大何mg飲めるか?」ではなく、
初心者がいきなり高用量を狙う必要はない
カフェインへの反応にはかなり個人差があります。
同じ200mgでも、「集中しやすくなった」という人もいれば、
「心臓がドキドキする」
「気持ち悪くなる」
「夜眠れない」
という人もいます。
普段カフェインをあまり摂らない人なら、なおさら慎重に試したほうがよいでしょう。
運動の目的が健康づくりなら、カフェインの摂取量を極限まで調整して数%のパフォーマンスを狙う必要はありません。
コーヒー・エナジードリンク・サプリの合計量に注意
もうひとつ気をつけたいのが、カフェインの「重ね飲み」です。
たとえば、
朝:コーヒー
昼:コーヒー
夕方:エナジードリンク
運動前:プレワークアウト
という生活をしていると、本人が思っている以上にカフェイン量が多くなる可能性があります。
カフェインはコーヒーだけでなく、
- コーヒー
- 緑茶・紅茶
- エナジードリンク
- 栄養ドリンク
- プレワークアウト
- カフェイン配合サプリメント
などさまざまな食品・飲料に含まれています。
夕方・夜のカフェインは睡眠とのバランスが重要
40〜50代の健康づくりで、特に気をつけたいのがここです。
仕事が終わってから、「今日は疲れたからコーヒーを飲んでジムへ行こう」ということもあるでしょう。
確かにカフェインによって、その日のトレーニングが少し楽になる可能性はあります。
しかし、その結果として睡眠が悪化したらどうでしょうか。
2026年の副作用レビューでも、カフェイン摂取による不眠の増加が確認されています。
また、睡眠を直接調べたランダム化クロスオーバー試験では、400mgのカフェインを一度に摂取すると、就寝12時間前でも睡眠に悪影響がみられました。
一方、100mgでは同じ研究条件で有意な睡眠への影響は確認されていません。
夕方・夜に運動する人は特に、
トレーニングの質を少し上げるために、睡眠の質を落としていないか?
という視点を持ってみてください。
こんな人は特にカフェインの量に注意
カフェインを利用するときは、次のような人ほど慎重に考えましょう。
- カフェインを普段ほとんど摂らない
- コーヒーを飲むと動悸を感じやすい
- カフェインで眠れなくなりやすい
- 不安感や胃腸の不快感が出やすい
- 夕方・夜にトレーニングする
- 複数のカフェイン飲料やサプリを利用している
- 持病がある、または薬を服用している
特に動悸などの症状が出る場合、「効いている証拠」と考えて無理に続けるべきではありません。
体育教師×トレーナーとしての結論
カフェインは「悪いもの」ではありません。
運動パフォーマンスを高める効果については、多くの研究があります。
だからといって、「もっと摂ればもっと効く」と考える必要もありません。
2026年の研究を合わせて考えると、低用量でも運動パフォーマンス向上が期待できる一方、摂取量が増えるほど副作用が増える可能性があります。
特に40〜50代で健康づくりのために運動しているなら、「最高のパフォーマンスを出す量」より「無理なく使えて、睡眠や体調を崩さない量」を大切にしてほしいと思います。



運動は、その日の記録だけで終わりません。
しっかり食べて、運動して、眠って、翌日に回復する。
そこまで含めて健康づくりです。
カフェインも同じように、運動・食事・睡眠全体の中で上手に利用していきましょう(^^)
▶関連記事:睡眠の質を上げる7つの方法
▶関連記事:睡眠負債とは?
カフェインと運動についてよくある質問
まとめ|カフェインは「多さ」より自分に合った量を
カフェインは運動パフォーマンスをサポートしてくれる可能性のある成分です。
しかし、大切なのは量を増やし続けることではありません。
今回のポイントをまとめます。
- カフェインには運動パフォーマンスを高める効果が期待できる
- 1.3〜3mg/kg程度の低用量でも持久系運動への効果が報告されている
- 摂取量が増えるほど頻脈、不安、頭痛、腹部不快感などが増える可能性がある
- 夕方・夜は睡眠への影響にも注意する
- 「最大量」ではなく「自分に必要な最小限の量」を考える



健康づくりでは、1回のトレーニングを最大化することだけが目的ではありません。
運動して、しっかり回復し、また次の運動を続けられること。
カフェインも、そのためのひとつの選択肢として上手に利用していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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