「運動前は、ゆっくり筋肉を伸ばせばよい」
このように考えていませんか?
運動前におすすめしたいのは、同じ姿勢で筋肉を伸ばし続けるストレッチだけではなく、体をコントロールしながら動かす動的ストレッチです。
動的ストレッチとは、腕や脚などを繰り返し動かしながら、筋肉や関節をこれから行う運動に備えさせる方法です。「ダイナミックストレッチ」や「アクティブストレッチ」と呼ばれることもあります。

この記事では、動的ストレッチの効果、静的ストレッチとの違い、40〜50代の初心者でも取り組みやすい5種目を、体育教師×パーソナルトレーナーの立場から解説します。
- 動的ストレッチは運動前のウォーミングアップに向いている
- 反動ではなく、自分で動きをコントロールする
- 1種目10回前後から始める
- 痛みが出る範囲まで動かさない
- その後に行う運動と似た動作を取り入れる
動的ストレッチとは
体を動かしながら筋肉と関節を運動に備える方法
動的ストレッチは、腕・脚・体幹などを動かしながら筋肉や関節を伸ばす方法です。
例えば、次のような動きが該当します。
- 肩を大きく回す
- 膝を交互に持ち上げる
- 股関節を回す
- 脚を前後に振る
- 上半身を左右にひねる
大切なのは、ただ大きく振り回すことではありません。
動的ストレッチと静的ストレッチの違い
| 比較項目 | 動的ストレッチ | 静的ストレッチ |
|---|---|---|
| 方法 | 体を繰り返し動かす | 一定の姿勢で筋肉を伸ばす |
| 主な目的 | 動くための準備 | 柔軟性の維持・向上、リラックス |
| おすすめの場面 | 運動前、朝、活動前 | 運動後、入浴後、就寝前 |
| 時間の目安 | 1種目10回前後 | 1部位20〜30秒程度 |
| 注意点 | 勢いをつけすぎない | 痛みを我慢して伸ばさない |
静的ストレッチが悪いわけではありません。目的とタイミングが異なります。
動的ストレッチに期待できる3つの効果
1.関節を動かせる範囲を一時的に広げる
動的ストレッチでは、関節を繰り返し動かします。
そのため、運動前に行うことで関節可動域、つまり関節を動かせる範囲が一時的に広がる可能性があります。
2.筋肉・神経をこれから行う動きに備えさせる
運動では、筋肉だけでなく、脳から筋肉へ指示を伝える神経も働きます。
動的ストレッチでスクワットや歩行に近い動きを行うと、これから行う運動の動作を事前に確認できます。
ただし、疲れるほど何度も行う必要はありません。
3.運動に向けて体と気持ちを切り替える
運動前に決まった準備動作を行うと、「これから体を動かす」という切り替えがしやすくなります。
ただし、この資料は動的ストレッチだけを推奨しているものではありません。記事内では「厚生労働省が動的ストレッチを推奨している」と断定しない方が正確です。
運動前におすすめの動的ストレッチ5選
初めに1〜3分ほど、その場足踏みや軽いウォーキングを行ってから始めましょう。
1.その場足踏み・ニーアップ
主に動かす場所:股関節・太もも
- 背筋を伸ばして立つ
- その場で左右交互に膝を上げる
- 腕も歩くように自然に振る
- 左右10回ずつ行う
膝を高く上げることより、姿勢を崩さず行うことを優先してください。
2.肩回し・アームサークル
主に動かす場所:肩・肩甲骨周辺
- 両腕を横に広げる
- 小さな円を描くように前へ回す
- 徐々に円を大きくする
- 前後それぞれ10回行う
肩をすくめず、呼吸を止めないようにします。
3.体幹ひねり
主に動かす場所:背中・体幹・肩周辺
- 足を肩幅程度に開く
- 両腕を胸の前で軽く曲げる
- 骨盤を大きく動かさず、上半身を左右にひねる
- 左右10回ずつ行う
勢いだけでひねらず、動きをコントロールしましょう。
4.股関節回し
主に動かす場所:股関節周辺
- 壁や椅子に手を添える
- 片方の膝を持ち上げる
- 膝で円を描くように外側へ回す
- 左右5〜10回ずつ行う
上半身が大きく傾かない範囲で行います。
5.フロントレッグスイング
主に動かす場所:太ももの前後・股関節
- 壁や椅子に手を添える
- 片脚を前後に小さく振る
- 慣れてきたら、無理のない範囲で動きを広げる
- 左右10回ずつ行う
脚を思い切り振り上げる必要はありません。
目的別の組み合わせ例
ウォーキング前
- その場足踏み
- 肩回し
- 股関節回し
全体で3〜5分程度から始めます。
筋トレ前
- その場足踏み
- 肩回し
- 股関節回し
- 軽いスクワット
筋トレでは、その日に使う関節や筋肉を優先して動かします。
ランニング・スポーツ前
- 軽いウォーキングまたはジョギング
- ニーアップ
- 股関節回し
- レッグスイング
- 競技に近い軽い動作
運動前と運動後では、適したストレッチが異なります。
筋トレ前後にどのような順番で行えばよいか迷っている方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
正しいやり方と回数の目安
初心者は次の目安から始めてください。
- 1種目:5〜10回
- 慣れてきたら:10〜15回
- 全体:3〜10分程度
- 強さ:疲れが残らない程度
- 動く範囲:痛みのない範囲
回数よりも、姿勢を崩さず滑らかに動けているかを優先します。
運動前の流れは次の順番がおすすめです。
- その場足踏みや軽いウォーキング
- 動的ストレッチ
- これから行う運動に近い軽い動作
- 本格的な運動
自宅の床が滑る・膝や手をつくと痛い方へ
動的ストレッチに道具は必須ではありませんが、床でストレッチや筋トレも行う場合は、滑りにくいトレーニングマットがあると取り組みやすくなります。
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注意点|痛みや体調不良があるときは行わない
次の場合は、動的ストレッチを中止または延期してください。
- 動かすと鋭い痛みが出る
- 関節が腫れている
- 捻挫や肉離れなどのケガをしている
- めまい、胸痛、強い息苦しさがある
- 発熱や強い倦怠感がある
- 医師から運動を止められている
よくある質問
体育教師×トレーナーとしての結論
運動指導の現場では、最初から脚を高く上げようとしたり、反動を強くしたりする人が少なくありません。
しかし、動的ストレッチで大切なのは、見た目の大きさではなく、自分で動きをコントロールできることです。
40〜50代の運動初心者は、次の順番から始めてください。
- 軽い足踏みで体を動かす
- 肩・股関節を小さく回す
- 痛みのない範囲で徐々に動きを広げる
- これから行う運動に近い動作を加える
動的ストレッチにはメリットがありますが、体調不良や痛みを解決する治療ではありません。
「少し動きやすくなった」と感じる程度で十分です。頑張りすぎず、運動を安全に始めるための準備として活用しましょう。
まとめ
動的ストレッチは、体を動かしながら筋肉や関節を運動に備えさせる方法です。
- 運動前のウォーミングアップに取り入れやすい
- 動的ストレッチと静的ストレッチは目的が違う
- 初心者は1種目5〜10回から始める
- 勢いではなく、動きをコントロールする
- 鋭い痛みや体調不良がある場合は行わない
- 動的ストレッチだけでケガを完全に防げるわけではない
最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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