「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」
「休日に長く寝ても、平日はずっと眠い」
「睡眠の質を上げるには、結局何をすればいいの?」
このように感じている40代・50代の方も多いのではないでしょうか。
睡眠不足への対策として、よく言われるのが、
「もっと早く寝ましょう」
というアドバイスです。

もちろん、必要な睡眠時間を確保することは大切です。
しかし、睡眠を最適化するには、睡眠時間だけでなく、睡眠時間・睡眠の質・生活リズム・睡眠を妨げている原因まで確認する必要があります。
2026年に発表されたアスリートの睡眠に関する臨床レビューでも、睡眠不足を単純に「もっと寝ればよい」と考えず、不眠症や睡眠時無呼吸、概日リズムの乱れなどを見逃さないことの重要性が整理されています。PubMed掲載論文
この記事では、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」と最新レビューをもとに、40代・50代が今日から取り組める睡眠の整え方を解説します。
- 睡眠の最適化に必要な考え方
- 睡眠時間だけでは不十分な理由
- 40代・50代が確認したい7つのポイント
- カフェインやスマートフォンの見直し方
- いびきや不眠など、注意したい睡眠障害のサイン
睡眠の最適化は「長く寝る」だけではない
最初に結論です。
睡眠を最適化するときは、「何時間寝たか」だけを見ないことが大切です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人に対して、個人差を考慮しながら6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。
ただし、これは「6時間寝れば誰でも十分」という意味ではありません。
必要な睡眠時間には個人差があり、同じ人でも仕事量、運動量、体調などによって変わる可能性があります。
もうひとつ重要なのが、睡眠休養感です。
睡眠休養感とは、簡単にいうと、「朝起きたときに、睡眠で休養が取れたと感じられるか」という感覚です。
たとえば7時間寝ていても、
- 夜中に何度も目が覚める
- 大きないびきをかく
- 起床時から疲れている
- 日中に強い眠気がある
- 休日に長く寝ないと動けない
といった状態が続く場合は、「睡眠時間は足りているから大丈夫」とは言い切れません。
睡眠は、次の3つをセットで考えましょう。
| 要素 | 確認するポイント |
|---|---|
| 時間 | 必要な睡眠時間を確保できているか |
| 質 | 途中で目覚めず、朝に休養感があるか |
| タイミング | 就寝・起床時刻が大きく乱れていないか |
なぜ睡眠が心と体の回復に重要なのか
睡眠は、単に体を動かさずに休んでいる時間ではありません。
心身の健康を維持するために欠かせない休養活動です。
睡眠不足が続くと、
- 日中の眠気
- 疲労感
- 集中力や注意力の低下
- 判断力の低下
- 仕事や運動のパフォーマンス低下
などにつながる可能性があります。
運動をしている人にとっても睡眠は重要です。
どれだけよいトレーニングをしても、その後の食事や休養がおろそかになれば、十分にコンディションを整えられません。



体育教師・トレーナーとして運動を考えるときも、
「運動すること」と同じくらい「回復すること」が大切
だと考えています。
頑張って運動量を増やすだけでなく、睡眠を含めて回復できる生活をつくることが、長く運動を続けるための土台になります。
2026年の研究から分かったアスリートの睡眠対策
2026年8月号の医学誌『Neurologic Clinics』には、アスリートの睡眠最適化についてまとめた臨床レビュー「Sleep Optimization in the Athlete」が掲載されました。
アスリートは、次のような理由で睡眠が乱れやすいと考えられます。
- 早朝練習
- 夜間の試合
- 遠征や時差
- 競技前の心理的緊張
- カフェインの摂取
- 痛みや不調
一方で、競技スケジュールによる寝不足だけでなく、
- 不眠症
- 睡眠時無呼吸
- むずむず脚症候群
- 概日リズム睡眠・覚醒障害
などの睡眠障害が隠れている可能性もあります。
つまり、「アスリートだから睡眠不足は仕方がない」で終わらせるのではなく、眠れない原因や睡眠障害の有無まで確認することが大切なのです。
今回の研究を見るときの注意点
今回の論文は、特定の睡眠方法を試したランダム化比較試験やメタアナリシスではなく、現在の知見を整理した臨床レビューです。
そのため、
「この方法を行えば睡眠が○%改善する」
といった介入効果を証明した研究ではありません。
エビデンスの位置づけは、中程度と考えるのが適切です。
一方で、
睡眠不足を「もっと寝ればよい」と単純化せず、背景にある原因を確認する
という実践的な考え方は、一般の人にも役立ちます。
40代・50代が睡眠を最適化する7つの方法
睡眠のために特別なことを始める前に、まずは次の7項目を確認してみましょう。
| チェック項目 | 確認すること |
|---|---|
| ①睡眠時間 | 必要な睡眠時間を確保できているか |
| ②起床時刻 | 平日と休日で大きくずれていないか |
| ③朝の光 | 起床後に明るい光を浴びているか |
| ④カフェイン・飲酒 | 夕方以降の摂取が習慣化していないか |
| ⑤スマートフォン | 就寝直前まで見続けていないか |
| ⑥寝室環境 | 光・音・温度・寝具が合っているか |
| ⑦症状 | いびき・不眠・日中の眠気がないか |
①必要な睡眠時間を確保する
最初に確認したいのは、やはり睡眠時間です。
成人では6時間以上がひとつの目安ですが、6時間は「目標」ではなく、最低限を考えるための目安です。
たとえば、
平日は5時間、休日は9時間以上
という生活が続いている場合は、平日に十分な睡眠を確保できていない可能性があります。
休日に長く寝ることだけを前提にせず、まずは平日の就寝時刻を15~30分早められないか考えてみましょう。
②就寝時刻より先に起床時刻を整える
睡眠を改善しようとすると、「何時に寝るか」だけに注目しがちです。
しかし、生活リズムを整えるためには、起床時刻も重要です。
休日に昼近くまで寝てしまうと、平日と休日の生活リズムが大きくずれます。
毎日まったく同じ時刻に起きる必要はありませんが、休日も極端に遅くならないようにしましょう。
③朝の光を浴びて体内時計を整える
朝起きたら、カーテンを開けて明るい光を取り入れましょう。
朝の光は、体内時計を整えるための重要な手掛かりになります。
「夜になってもなかなか眠くならない」という人は、夜だけを変えようとするのではなく、朝の過ごし方から見直してみてください。
朝は、
カーテンを開ける→朝食を取る→軽く体を動かす
という流れを決めておくと、習慣化しやすくなります。
④カフェイン・飲酒・夜食を見直す
眠気を覚ますためのコーヒーや、寝つきをよくするための寝酒が習慣になっていないでしょうか。
カフェインはコーヒーだけでなく、
- 緑茶
- 紅茶
- エナジードリンク
- 一部の栄養ドリンク
- ココアやチョコレート
などにも含まれています。
カフェインの影響には個人差がありますが、夕方以降に摂取すると寝つきや睡眠の深さに影響することがあります。
日中に強い眠気があり、夕方以降もカフェインを摂っている人は、
「コーヒーで眠気を抑える」だけでなく、「なぜ日中に眠いのか」を確認する
ことが大切です。
⑤就寝前のスマートフォンを見直す
寝る直前までスマートフォンを見ている人も多いと思います。
睡眠への影響を考えるときは、画面の光だけでなく、
- 動画やSNSを見続けて就寝が遅れる
- 仕事の連絡で緊張が高まる
- 次々と情報が入り、頭が休まらない
- ベッドの中で長時間過ごす
といった影響にも注意が必要です。
まずは、就寝30分前になったらスマートフォンをベッドから離すという簡単な方法から試してみましょう。
⑥寝室環境を整える
睡眠時間と生活リズムを見直したら、次に寝室環境を確認します。
チェックしたいのは次の点です。
- 部屋が明るすぎないか
- 騒音が気にならないか
- 暑すぎたり寒すぎたりしないか
- 枕やマットレスが体に合っているか
- 外の光や家電の光が気にならないか
高価な睡眠グッズを購入する前に、まずはカーテン、照明、室温、スマートフォンの置き場所など、お金をかけずに変えられるところから始めましょう。
光が気になる人は、遮光カーテンなどと併せてアイマスクを使う方法もあります。ただし、締めつけや蒸れが気になる製品もあるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
⑦「寝ても眠い」場合は睡眠障害も考える
今回の記事で、特にお伝えしたいポイントです。
睡眠時間を増やしても改善しない場合、単なる寝不足ではない可能性があります。
次のような症状がないか確認してみましょう。
- 大きないびきを指摘される
- 睡眠中に呼吸が止まっていると言われる
- 十分寝ても日中の眠気が強い
- 寝つけない状態が続いている
- 夜中に何度も目が覚める
- 脚がむずむずして眠れない
- 睡眠・起床時刻が極端にずれている
こうした状態が続く場合は、「もっと早く寝れば大丈夫」だけで済ませない方がよいでしょう。
睡眠記録は役立つが、数値に振り回されない
スマートウォッチや睡眠アプリを使うと、就寝・起床時刻などを記録しやすくなります。
毎日手書きするのが難しい人には便利な方法です。
ただし、一般向けのスマートウォッチで表示される睡眠スコアや睡眠段階は、医療機関で行う睡眠検査と同じものではありません。
1日だけスコアが低かったからといって、必要以上に不安になる必要はありません。
確認したいのは、
- 就寝・起床時刻の傾向
- 睡眠時間の変化
- 朝の休養感
- 日中の眠気
- 生活習慣との関係
です。
こんな症状があれば医療機関への相談も検討する
厚生労働省の睡眠ガイドでも、睡眠の不調や睡眠休養感の低下が続く場合は、生活習慣だけでなく、病気が潜んでいる可能性にも留意するよう示されています。
特に注意したいのが、「十分寝ているはずなのに、日中の強い眠気が続く」場合です。
いびきや睡眠時無呼吸は、本人が気づいていないこともあります。
家族やパートナーから、
「いびきが大きい」
「寝ているときに呼吸が止まっているように見える」
と言われた経験がある人は、その情報も重要です。
また、日中の眠気によって運転や仕事に支障が出ている場合は、放置しないようにしましょう。
睡眠改善は「1週間の記録」から始めよう
睡眠を改善しようとすると、
「枕を変えよう」
「サプリを飲もう」
「睡眠アプリを使おう」
など、何かを購入することから始めたくなるかもしれません。
しかし、最初に行いたいのは、現在の睡眠を知ることです。
まず1週間、次の項目を記録してみましょう。
- 就寝時刻
- 起床時刻
- 夜中に目が覚めた回数
- 朝の休養感
- 日中の眠気
- カフェインを取った時刻
- 飲酒の有無
たとえば、
23時30分就寝/6時30分起床/途中覚醒1回/朝の休養感3点/昼食後に強い眠気/16時にコーヒー
という程度で十分です。
記録を続けると、
- 睡眠時間そのものが短い
- 休日だけ起床時刻が大きくずれている
- 夕方にコーヒーを飲んだ日は寝つきが悪い
- 飲酒した日は夜中に目が覚める
- 7時間寝ても日中の眠気が強い
など、自分なりの傾向が見えてきます。
睡眠の最適化についてよくある質問
体育教師×トレーナーとしての結論
睡眠というと、「早く寝る」「8時間寝る」といった時間の話になりがちです。
もちろん、必要な睡眠時間の確保は最優先です。
しかし、今回の研究から学びたいのは、「眠れていない原因まで確認する」という視点です。



私が生徒やトレーニング指導をする立場で「最近眠い」「疲れが取れない」と相談された場合は、睡眠時間だけでなく、
睡眠時間→起床時刻→朝の休養感→日中の眠気→いびき→夜中の覚醒→カフェイン
という順番で確認します。
睡眠も運動と同じで、誰にでも共通する完璧な方法があるわけではありません。
大切なのは、自分の生活と体調を確認し、無理なく続けられる方法を見つけることです。
まずは今日、「昨日何時間寝たか」だけでなく、「今朝、休めたと感じたか」を振り返ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考にした公的機関・論文
- Matarese CA, Murray AM. Sleep Optimization in the Athlete. Neurologic Clinics. 2026;44(3):381-392. DOI: 10.1016/j.ncl.2026.03.002. PubMed
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省「Good Sleepガイド 成人版」


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