あなたの目の前で、大切な家族や仲間が突然倒れたとしたら――。
その瞬間、あなたは「動ける人」でしょうか?それとも「固まってしまう人」でしょうか?
緊急事態は、いつ・どこで・誰に起こるか分かりません。
しかし、ほんの少しの知識と行動が「生きるかどうか」を左右することがあります。
先日、救命講習の更新で改めて「知って」「動ける」ようにしておくことが大切だと感じました。
今回の記事では、救急救命講習で学べる内容や、知っておくべき“命をつなぐ行動”について、元体育教員×スポーツトレーナーの視点から分かりやすく解説します。
日常生活で誰もが持っておくべき“もしも”への備え。
あなた自身のためにも、そして大切な人を守るためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
救急救命講習とは?
救急救命講習は、心肺蘇生法(CPR)やAEDの使い方、応急手当(ファーストエイド)、緊急時の通報方法などを実際に体を動かしながら学ぶ講習です。
主に消防署、日本赤十字社で定期的に講習を開催しています。
※日本AED財団や日本救急医療財団、一部の民間団体なども講習を行っている場合があります。
お問い合わせ・受講希望の場合は、希望する地域を管轄する消防署や、主催団体に問い合わせてみましょう。
団体によりますが、ウェブサイトか電話で問い合わせが可能です。
応急手当の基礎知識
応急手当と救命処置
私たちは「いつ、どこで」突然のケガや病気におそわれるかわかりません。
そんな時に、家庭や職場でできる手当のことを「応急手当」と言います。
病院に行くまでや専門家にバトンタッチするまでに応急手当をすることで、ケガや病気の悪化を防ぐことが目的です。
救命の連鎖
ケガや病気のアクシデントがあった方の命を救い、社会復帰に導くために必要となる行動と一連のつながりを「救命の連鎖」と言います。
救命の連鎖は4つの輪で成り立っており、この4つの輪が途切れることなく素早くつながることで、救命効果が高まります。
- 心肺停止の予防
- 早期認識と予防
- 一次救命処置(心肺蘇生とAED)
- 二次救命処置と集中治療
救命処置はもちろん大事ですが、何よりも未然に防ぐことが一番効果的です。
小児ではケガ、溺水、窒息などのアクシデントが多く、主に日常生活の中での注意が必要です。
成人だと急性心筋梗塞や脳卒中など、生活習慣病への対策が必要です。日ごろから生活習慣を整え、発症リスクを下げることが大切な予防の1つです。
また、高齢者の窒息、入浴中の事故、熱中症への予防も大切です。
心肺停止を早く認識するためには、倒れた人や反応のない人を見かけたら、心肺停止を疑うこと。
勇気を出して「反応の有無、応援の要請、119番通報とAEDの手配の依頼」の行動が大切です。
もし、救命処置のやり方がわからなかったり忘れたりしてしまっても、119番通報の電話を通じて行動の指示をしてくれます。
心肺蘇生とAEDによって、止まった心臓と呼吸の動きを助ける方法です。
①心肺蘇生とは
胸を強く圧迫する「胸骨圧迫」と、口から肺に息を吹き込む「人工呼吸」によって、止まってしまった心臓と呼吸を補い、助ける方法です。
②AEDとは
心臓を正常の状態に戻すために、自動で電気ショックをしてくれる機器です。一般の方でも簡単に操作できるようになっています。
医師や救急救命士などの専門家が行います。
1~3つめの行動はその場に居合わせた人により行うことが期待されます。
専門家につなぐまでの応急処置が行われれば、生存率や社会復帰率が高くなることが分かっています。
ここからは一次救命処置(心肺蘇生とAED)について深堀して解説します。
一次救命処置について
胸骨圧迫の意味
胸骨圧迫の意味
心臓が止まると10秒くらいで意識がなくなり、3~4分以上そのままの状態が続くと脳の回復が困難となります。
なので、救急隊が到着するまで動ける人がそばにいるかどうかで、その後が大きく変わります。心臓の動きが戻った後に後遺症を少なくするためにも重要です。
胸骨圧迫の方法
- 倒れている人の横で両ひざ立ちになる
- 胸の真ん中にある胸骨の下半分を、重ねた両手で圧迫する
- 両肘をまっすぐ伸ばして手のひらの付け根の部分に体重をかけ、真上から圧迫する
胸骨圧迫のポイント
- 胸の中心を「強く、速く、絶え間なく」押す
- 1分間に100〜120回のテンポで押す
- 深さ5cmほど沈む程度(小児は胸の厚さの約1/3)
- 押したらしっかり戻す
- AEDや人工呼吸を行う時間以外は、できるだけ胸骨圧迫が中断しないようにする
人工呼吸
人工呼吸の意味
心臓が止まり、呼吸が止まると脳や臓器に酸素が届かなくなり、急速にダメージが進みます。
- 1分:脳細胞の障害が始まる
- 3〜4分:不可逆的なダメージが進行
- 5〜6分:回復不能な脳障害の可能性
- 8〜10分:死亡のリスク極めて高い
人工呼吸の役割
- 止まった呼吸の代わりに、酸素を肺へ送り込む
- 肺に空気が入ることで、血液に酸素を渡す
- 酸素を含んだ血液が脳・心臓に最低限の命綱をつなぐ
つまり救急車を呼んでも、隊員が到着するまでに脳への酸素供給がゼロであればダメージが残りやすいです。そのためにも人工呼吸が必要です。
人工呼吸の方法
傷病者ののどの奥を広げて肺に空気を入れやすくする。
気道を確保したまま、鼻をつまむ。
自分の口を大きく開けて傷病者の口を覆って密着させ、傷病者の胸が上がるのを見てわかる程度、1秒間かけて息を吹き込む
いったん口を離して、同じ要領でもう1回
人工呼吸のポイント
- 2回の吹込みで、いづれも胸が上がるのが目標(胸が上がらなくても2回まで)
- 人工呼吸にかける時間は「10秒以内」
- 顔面や口から出血している場合は、胸骨圧迫のみ実施
AEDについて
AED(自動体外式除細動器)とは
心臓が止まる原因の多くに、心臓が痙攣してしまい、正常の動きをしていない状態があります。
その際はできるだけ早く心臓に電気ショックを与え、心臓のふるえを取り除くことが重要です。
AEDは、その電気ショックを行うための機器です。自動的に心電図を解析して電気ショックが必要か判断してくれます。音声メッセージにより機器の操作など必要な対応を指示してくれるので、一般の方でも簡単に操作できるようになっています。
AEDの使い方
基本的に機械が音声で手順をガイドしてくれるため、あまり怖がらなくても大丈夫。
電源を入れたら、パッドの貼り方など何をすればいいか、丁寧に教えてくれます。
- AEDのふたを開けて電源を入れる(ここからは自動音声で案内してくれる)
- 傷病者の胸をはだけさす
- AEDのケースに入っている電極パッドを袋から取り出す
- 電極パッド貼る場所のイラストが描いてあるので、その通りに貼る
AEDのポイント
- 心電図の解析中や電気ショックが必要な時は傷病者から離れる(ちゃんと自動音声で教えてくれます)
- 「ショックは不要です」という音声メッセージの場合は、すぐに胸骨圧迫を再開する
- 傷病者の体が濡れている場合は、拭いてからパッドを貼る
- アクセサリーや下着の上から貼らない
あと、AEDには成人用と未就学児用の2種類のパッドが入っている機種や、スイッチでモードを切り替えるものもあります。そこのポイントも軽く触れていきます。
| 傷病者の 区分 | 小学生以上 | 未就学児 |
| 電極パッドで 使い分ける機種 | 小学生~大人用 電極パッド | 未就学児 電極パッド用 |
| 本体のスイッチで 切り替える機種 | 通常の モード | 未就学児用 モード |
AEDに未就学児用の電極パッドが入っていなく未就学児にAEDが必要な場合は、通常の小学生~大人用の電極パッドを使用して大丈夫です!
理由:子供にとっては電気が強いですが、それでも電気ショックをした方が助かる確率が上がるからです。
AEDに未就学児用の電極パッドしか入っていなく大人にAEDが必要な場合は、AEDを使用なくて大丈夫です!
理由:大人にとっては電気が弱く効果が薄いので、その際は胸骨圧迫を優先するためです。
救急救命講習を受ける“最大のメリット”
たくさんの方が救急救命講習に来られていましたが、その中には私のような運動指導者もいれば、一般職や主婦、学生の方もいます。
救急救命講習の最大の価値は、
「自信をもって動ける人」になれること。
- 倒れた人を前にして固まらなくなる
- 自分の行動が命を救えると理解できる
- 日常の安全意識が高まる
- 家族や仲間を守れる安心感が生まれる
実際に私も倒れた人を目の前にした経験がありますが、知らなかったりシミュレーションしていなかったりしたら、何をしていいか分からず固まっていたと思います。
いざという時に動けるかどうかは、知識だけではなく「経験」や「勇気」が必要だなと実感しました。そのために講習は役立ちました。
まとめ
突然の緊急事態は、誰にでも起こりうるもの。
あなたが救命方法を知っていれば、誰かの命を救う存在になれます。
大切なのは、“知ってる人”ではなく“勇気をもって動ける人”になること。
今回の内容は、ほんの一部に過ぎません。
今回の記事を読んで救命に興味を持った方は、救急救命や応急手当のガイドラインを読んだり救急救命講習に一度足を運んだりしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます!


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